「大阪在住の監督は『男はつらいよ』と不思議な縁が!?」永井和男「葛飾で映画を撮った大阪人監督の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
永井和男

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■若き日の思い出が胸に蘇る!下町情緒がたっぷりの新作映画

 東京の葛飾を舞台にした映画『この街と私』が話題だ。主人公はテレビ業界で働く23歳の女性AD(アシスタントディレクター)。バラエティを志望していたものの街めぐり番組に配属され、葛藤しながら成長していく姿を描いている。演じるのは期待の若手俳優、上原実矩。他に、実際にギュラーを持つバッドボーイズ清人など、葛飾ゆかりのタレントが続々登場するのも見ものだ。

 そんな東京の下町情緒あふれる映画だが、監督の永井和男さん(31)は意外にも大阪在住。

「この映画のオファーをいただいたとき、不思議なご縁を感じました。実は父が「かつしか観光大使」を務めるLiLiCo、10年以上も、この地に居住した「ですよ。」、かつしかFMにレギュラー持つバッドボーイズ清人など、葛飾ゆかりのタレントが続々登場するのも見ものだ。

 そんな東京の下町情緒あふれる映画だが、監督の永井和男さん(31)は意外にも大阪在住。

「この映画のオファーをいただいたとき、不思議なご縁を感じました。実は父が熱狂的な『男はつらいよ』ファン。立派な木箱入り全巻DVDボックスを購入するほどのめり込んでいたんです。僕も幼い頃から一緒に見ていました。なので、なじみ深い街だったんです」

●自らの体験を基にADの日常を演出

 この映画では、車寅次郎の生まれ故郷である葛飾柴又「帝釈天」の参道が非常に重要な意味を持って描かれる。『男はつらいよ』とは、また違う現代の帝釈天の光景に胸を打たれる人も多いだろう。

 リアルな葛飾を映しだすこの映画、実は主人公同様、彼もテレビのAD出身。自分自身がモデルでもあるのだ。

「学生時代から天竺鼠などのお笑いが好きで、M-1グランプリは予選から観に行くほど夢中になっていました。“自分もバラエティ制作に携わりたい”と夢を見て制作会社に入ったんですが、会議の席にコピーを配ったり、お茶を出したり、雑用ばかり。企画書を見てもらう機会が得られないまま、忙殺されていました」

 雑多な仕事に追われ、次第に疲弊していく毎日。特につらかったのが、プロデューサーやディレクターらが「優しかった」点。

「みんな“無理すんな”“適当に切り上げて帰れよ”と言ってくれるんです。パワハラなんて、なかった。けれども現実問題、無理しなければ仕事は終わらない。優しい言葉と仕事量のギャップに“よけい地獄だろ”と感じていました」

 主人公が上司から「早く帰れよ」と言われながら、結局は深夜の帰宅続きで心が折れていくシーンがある。これは実体験に基づいた演出なのだ。

 そんなADだが、葛飾区住民との温かな触れ合いの中で次第に、この街の魅力に気づき、番組作りに向き合おうと決意する。

「半分、ドキュメンタリーのような映画です。観た方にも重なる部分があるのではないでしょうか」

 ほろ苦い映画『この街と私』は公開中のアップリンク吉祥寺を皮切りに全国で順次公開。下町の風景にホッとするとともに、「自分にも、こんな日があった」と懐かしく思い出されるだろう。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!

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