今年初参戦となった2月4日小倉の1レースをスマートアイで逃げ切り勝ち、JRA通算4400勝を達成することができました。
21日の中京8レースでリーチをかけてから、開催3日間、足踏みをしてしまい、周囲をヤキモキさせましたが、これで一区切り。僕自身、ホッと一息というところです。
最後の直線では、とても第1レースとは思えないほど、たくさんの拍手と歓声をいただき、それが力になりました。早朝から小倉競馬場に足を運び、記録達成を見届けてくれたファンの皆さんには感謝です。
セレモニーでプラカードを持ってくれたのは、昨年11月の落馬事故で戦線を離れているケンイチ(池添謙一騎手)でした。わざわざ、このために朝一番の新幹線で駆けつけてくれたということで、彼にも感謝です。
でも、記者の方に囲まれ、「豊さんに交通費を出してもらおうかなと」と言ったそうで。すぐにでも復帰するとのことなので、レースでコテンパンになるまで叩きのめすことで、お礼に代えたいと思います(笑)。
このレースで、最後まで僕の馬と競ったユーイチ(福永祐一騎手)は、今月いっぱいでジョッキーを卒業し、調教師という新たな道を進むため、これが最後の小倉競馬参戦でした。
僕らがまだ若かった頃、2か月近くあった夏の小倉は、長期滞在が当たり前。夜はおいしいものを食べ、はしゃいだ経験も、1度、2度……覚えていないほど。ユーイチにとっても、感慨深い1日になったのでは。
1レースは競り勝った僕が勝ち。2レースはユーイチが1着で僕が3着。3レースで再び僕が勝利し、4、5レースの障害を挟んで、6レースはユーイチがV。7レースは、再びユーイチとの競り合いとなり、僕が1着でユーイチが2着のワンツー。“ジジイ2人の日”になりました(笑)。
ユーイチとはまだ同じレースに乗る機会があるので、最後の最後まで、深く記憶に残るレースができればと思っています。
来月、誕生日を迎えると僕は54歳。今週末(19日)には、今年最初のG1・フェブラリーSが待っていますが、まだまだ若いジョッキーには負けません。
僕のパートナーを務めてくれるのは、ヘリオスです。前走1月29日の根岸Sは、内の馬と競り合う形となってしまい、最悪の結果(15着)に終わってしまいましたが、展開ひとつで結果は、まるで違うものになるのが競馬です。ひと叩きして、体調もグンとアップした今回が勝負です。
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