「串カツと音楽で気分アゲアゲに!」安藤八主博「串カツを揚げるソウルシンガーの巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!の画像
安藤八主博

 関西に生息するアヤシくてオモロい人たちに、大阪出身・京都在住の人気ライター・吉村智樹が直撃インタビュー!

■お笑いでも音楽でも串カツでもお客さんに楽しんでもらいたい

 大阪の東心斎橋にある『リズム&串カツ アガッタ!』が「珍しい串カツが楽しめておいしい」と評判だ。オクラ納豆やカクテキ(大根キムチ)、駄菓子の酢イカ、さらには「焼きそばカツ」などユニークな揚げ物メニューがふんだんにあり、テンションがアガる。

「うちの串カツはパン粉を、おもっくそつけて揚げているのが特徴です。ガリッとかじって歯応えを感じてほしいですね」

 そう語るのは、妻と二人で、この店を営む安藤八や主す博ひろさん(53)。“悲しき怪人”との異名を取るほど、一度見たら忘れられないキャラクターとトークの面白さで多くの人に慕われ、彼に会いたくてやって来る常連客も少なくないという。

 さて、気になるのは、リズム&ブルースならぬ「リズム&串カツ」という店のキャッチフレーズ。実は彼、今年、結成30周年を迎える大阪が誇るソウルバンド『ザ・たこさん』のヴォーカリストなのだ。妻はシンガーソングライターの桜川春子さん。アーティスト夫婦の手料理を堪能できる異色の串カツ店なのである。

「初めは妻が考えた『ロッ串カツ あげまん』という店名にするつもりやったんです。店の看板までできていました。ところが、妻のお父さんが“お○こ”を店の名前にするアホがどこにおるんや!”と激怒しまして。契約前日に改名しました」

 結局、尊敬するリズム&ブルースの巨匠、オーティス・レディングのシャウト「Gotta!」(ガッタ!)と、串カツの「揚がった!」をかけて現在の店名になった。ケガの功名か、改名のおかげで、ご機嫌なブラックミュージックをBGMに、絶品の串カツを満喫できる店というコンセプトが固まったという。あげまんのままだったら、春歌ばかり鳴り響く淫靡な店になっていたかもしれない。お笑い芸人時代は“天才”との評価も…

 奇特なのは店名の由来だけではない。彼の人生も、なかなか味わい深いのだ。

 高校時代は野球部。「芸人になりたい」という部活の先輩の誘いで吉本興業の養成所NSCに入学。『頸動脈』というコンビを組んだが解散し、『あんどう鰐』の名でピン芸人として活動を始めた。同期には千原兄弟がおり、千原ジュニアは現在も「あの頃、天才が2人いた。一人はチャンス大城。もう一人は、あんどう鰐」と公言している。

 そんな千原兄弟にトーナメントで敗れ、3年で芸人を引退。バイトしていたラーメン店でバンドを結成し、現在に至るという。

「お笑いも、音楽も、串カツも、お客さんに“楽しんでもらいたい”という気持ちは一貫しています。お客さんが笑ってくれたり、踊ってくれたり、おいしいと言ってくれたら、それが、ほんまにうれしいんです」

 8月20日(日)、東京・杉並のTOP BEAT CLUBでの公演を皮切りに、30周年記念ツアーがスタートするザ・たこさん。圧巻のソウルミュージックをガリッとかじって、アガりまくってもらいたい。

よしむら・ともき「関西ネタ」を取材しまくるフリーライター&放送作家。路上観察歴30年。オモロイ物、ヘンな物や話には目がない。著書に『VOW やねん』(宝島社)『ジワジワ来る関西』(扶桑社)など

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