医師と相談し、2週間をめどに回復に努めてきましたが、思いのほか、蹴られた右太ももの腫れと痛みが引かず、もう1週間、騎乗を控えることにしました。

 20代、30代の頃は、“これくらいなら”と、勢いのままに騎乗してきましたが、年齢を重ね、ここで無理をして悪化すれば、さらに多くの人にご迷惑をかけることになるので、ここは我慢です。

 僕が休んでいる間も、日本ではG1レースが行われ、海外では、アメリカ競馬の祭典、ブリーダーズカップが開催されました。

 初日に5つ、2日目に9つ、全部で14ものG1が行われるサンタアニタ競馬場は、ロサンゼルス郊外に位置する競馬場。2000年、日本からアメリカに戦いの場を移そうと決めた僕は、このサンタアニタパークをメインにした西海岸をホームとしました。

 気候は申し分ないし、街も競馬場も、カリフォルニア独特の開放感があり、生活するには最高の環境です。

 当時は、「ずっと滞在します」と、いくら言葉を尽くしても、にわかには信じてもらえず、「どうせ、すぐ日本に帰るんだろう」という目で見られ、思うように騎乗馬が集まらなかったという厳しい現実がありました。でも、そういうことも含め、いい経験になったことは間違いありません。

 所変われば……という言葉がありますが、アメリカの競馬ファンは、陽気で、競馬もギャンブルではなく、スポーツという感覚が強く、勝者をたたえるのも、“イエ〜イ”という感じ。野球やバスケットボール、アメリカンフットボールに近いような気がします。

■ディープインパクト産駒がBCターフを制覇

 日本からは8頭が参戦。成績はBCクラシックに出走したデルマソトガケの2着が最高と、残念ながら栄冠をその手につかむことはできませんでしたが、出走全馬、オーナー、調教師の先生、スタッフ、ジョッキーの皆さんには、“ナイス、トライ!”という言葉を贈りたいと思います。

 中でも力が入ったのは、01年のダービー馬、ディープインパクト産駒のシャフリヤールが挑んだBCターフです。

 このレースを制したのも、同じディープ産駒で、今年の英国、アイルランドダービーを制したオーギュストロダン。シャフリヤールは3着でした。世界中で、ただ一人だけ、ディープの背中を知る僕にとっては、やる気と勇気をもらいました。

あわせて読む:
・祝!阪神タイガース38年ぶり日本一「日本シリーズ神采配」究極15選
・ムー編集長・三上丈晴「宇宙人の技術は次元が違う。本気を出せば、1秒で地球を滅ぼせます」麻美ゆまのあなたに会いたい!(前編)