あれは何年前だったかな?なんでも遠慮無くすぐに忘れるから覚えてないけど、場所は、福岡のある専門学校。
ロクデナシのオレは無謀にも、ここの専門学校で映像志望の学生にグーゼミという授業を2ヶ月に一回くらいのペースでをやらせていただいている。
いつものようにデーハーな服装で校内をチンタラ歩いてた時、一見真面目清潔風、だけどホントは面倒臭がり屋なのがすっかりバレてる標準的な生徒が行く手を阻み、唐突に質問してきた。

「あの、グーさんが最近読んだ面白い本を教えてください」
「最近読んだ本ねぇ、あれこれ読んでるけど、そうだな、○○が面白かったなぁ、××さんが書いてて、こうこうこういう人がさぁ、かくかくしかじかなお話なんだけどね」
いつものようにテキトーに答えるオレ。

「へぇ? それはすごく面白そうですね」
あんまり面白くなさそうなリアクション。

「それと、最近何か面白い映画は見ましたか?」
「映画ねぇ、映画もいっぱい見てるけどねぇ、そうそう、ドイツだったかどこだったかヨーロッパのあっちの方の映画だったと思うんだけどね、○○なんとかってタイトルの、それはさぁ、あんまりネタバレしちゃイケナイけどさ、だいたいのストーリーね、××してる主人公が△△なんだけどね、○×しようとして途中×?△だったりしてね、ラストは○△&???ってな映画なのよ」
さらにテキトーに答えるオレ。

「それも観てみます!」
お礼も言わずに立ち去る生徒くん。

一ヶ月後、またその失礼な生徒がボクのところへやって来た。
「グーさんに教えてもらった本を読みました、読んだんですけど…」
「おお、そっかぁ、行動するのが早いねぇ、そりゃ感心感心実に感心」
「でもですね…なんというかグーさんの話してた内容と違うんですよ」
そりゃオレ様ですから、チョーいい加減なんだからしょうがないだろう。
「うそぉっ、マジでっ!!」
で、一応は驚いてみせたりする。
「少しは似てるところもあるんですけど、まるっきり違うというか…」
「うわぁ、そりゃ悪かった、ゴメンゴメン」
「それと、映画も観たんです」
「ああ、あれは絶対面白かったろ?」
「観たんですけど、それも、聞いてたお話とけっこう違うんです。
やっぱり少しは似てるところもあるけど、違うお話だったんです
「あっちゃー、ホントにゴメン、オレってさ、よくあるんだよね、そういうことがぁ、
マジで申し訳ない」
オレは、生徒に対してガセネタを掴ませてしまったことに、なんの罪悪感もなかったけど、とりあえず謝っといた。
「でもですね、実際の映画や本よりもグーさんが話してた話のほうが
断然面白いんですよね。

あれはグーさんのオリジナルの話なんじゃないですか?」

ズバリ!そうなんです!そういうことなんです!
自動的にアイディアが出てくるという、リアルな体験がこれなんです。
その生徒くんには、まったくなんの関係も無いんだけどね。

誰が書いたとか、誰が撮ったかなんてチョーいい加減、さらに内容さえもいい加減に詰め込んだ結果、何冊もの本や映画が勝手にオレの頭の中で合成され、自動的に化学反応?
を起こして、まったく新しいお話を作り上げてしまった訳です。


これぞ、いい加減な学習の極意なり!

まぁこうなるまでは、いい加減な訓練をいい加減にやっていかなければイケナイんだけど、なにしろいい加減だから継続することができる。
ロクデナシのオレが、ずっと続けられてるんだから、それは保証しますよ。
それじゃ毎週一本ずつ、ちょっとずつもったいぶりながら話していくとしましょうか。

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