3月28日、セ・パ両リーグが開幕したその日、東京ドームでは、巨人軍の球団創設80周年を祝う盛大なセレモニーが開催され、スターが勢ぞろいした。

「長嶋茂雄終身名誉監督をはじめ、金田正一、堀内恒夫、張本勲、松井秀喜など、巨人軍の歴史を彩った名選手やスタッフが勢ぞろいし、その数なんと202人! 特に注目を集めたのは、80周年記念事業の一環として製作された映画『THE GIANTS』。ミスター、王貞治、松井、原監督、現役の阿部慎之助などのコメントを交えながら、巨人軍の歴史を振り返る物語に、会場は拍手喝采となりましたね」(スポーツ紙記者)

球団設立当初の秘話やV9時代をはじめ、歴代のエースや4番打者が登場した13分の映画は、まさに"栄光の歴史"が凝縮。

だが、当然、入っていなければならない功労者がいない。
一瞬たりとも出てこない選手が3人、存在したのだ。

「それは、"番長"清原和博、"オレ流"落合博満、"雑草魂"上原浩治の3人です。もちろん、ミスターや松井ほどではないですが、その功績は、巨人の歴史を語るうえで欠かせないはず。やはり球団にとっては煙たい存在なんでしょう」(前同)

セレモニーに出席した巨人OBの一人、野球評論家の関本四十四氏は言う。
「出席したのは202人だったけど、招待状は400人ぐらいに送っているはず。所用で来られない人もいっぱいいました」

この日、最も注目が集まったのは、やはり"渦中"の清原氏だった。
集まったOBたちの間でも大きな話題になったという。

実は、清原氏が"巨人出禁"となったのは最近の話。

裏事情を巨人OBが語る。
「一昨年秋に甲子園球場で開催された『阪神・巨人OB戦』に清原は出場しています。このときは球団側も"レッキとしたOB"と見なしていたのは事実です。やはり、『週刊文春』が報じた薬物疑惑が大きいのでしょう。決定的証拠こそないものの、噂が出るだけでも、"紳士たる巨人軍"としてはNG。そのため、今回のセレモニーには招待さえされなかったようだ」

記念映画の1シーンに、この日同じく欠席した桑田真澄氏の雄姿はあれど、清原氏の姿はまったく映っていない。

清原氏の存在感を考えると、いかにも不自然なのだ。

現役時代から、オーナーの渡邊恒雄会長には相当睨まれていた清原氏。
サヨナラ本塁打&安打は歴代1位とチャンスには滅法強く、ファンも多かった。

だが、ピアスにアゴ髭など、素行の悪さが問題となり、「清原がケガで戦線離脱したとき、ナベツネさんは"これで勝利の要因が増える"と語るほど嫌っていたし、今回の薬物疑惑でまた逆鱗に触れたはず。今後一切、巨人の公式イベントに参加できないでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)

この清原が西武から巨人に入団したのは96年。
この年、入れ違いで落合博満・現中日GMが巨人を去っている。

在籍は94~96年の3年間だったものの、4番打者として2度のリーグ優勝に貢献した落合GM。

記念映画から消された事情は、清原氏とは少し違うようだ。
「もちろん巨人でも活躍はしましたが、時期的にもほんの一瞬でした。巨人のほかロッテや中日、日本ハムを渡り歩いた落合には、あまり巨人色を感じませんからねえ」(夕刊紙記者)

いまや巨人の敵である中日の落合GMを巨人がプッシュするのも不自然だろう。

阪神ファンを公言して大目玉

「実は、松井秀喜という有力な次期監督候補が出てくるまで、落合GMが有力な監督候補でした。ただ、中日へのフロント入りで、巨人とは縁が切れてしまったんです」(前同)

このように、清原氏や落合氏の姿が巨人の歴史から消えたのは、ある程度理解できる。 だが現在、メジャーで大活躍中の上原浩治投手が、なぜ消されてしまったのかは大きな謎だろう。

「上原のトラブルは、20勝を挙げた新人時代の99年に、首脳陣からの敬遠指令が悔しくてマウンドを蹴り上げ、泣いたことくらい。試合後、大目玉を食らいましたから」(同)

とはいえ、これは些細な問題。
実は、メジャー移籍時に球団側に大顰蹙を買っていたというのだ。
「08年にFA権を取得した上原は、シーズン開幕直後の4月にメジャー挑戦を明言してしまった。先発ローテ入りしていたエースが"来年はもういません"と宣言したのですから、首脳陣は大激怒。結局、本人の希望がかなって翌年に渡米したんですが、これで巨人との関係が一気に冷え込みました」(全国紙運動部記者)

さらにダメ押しとなったのが、前述した阪神・巨人OB戦の"あるひと言"だったという。
「甲子園開催を祝うため、阪神OBが映像で登場して祝いの言葉を送ったんですが、ここにOBでもない上原が何故か登場しました。"小さい頃から阪神ファン""巨人時代、阪神のことを考えて投げていた"と、まさかの暴露。その場の巨人関係者は"あいつを2度と出すな"と怒りを露にしていました」(前同)

紳士たる巨人軍の掟は厳しい。
決して裏切りは許されないということか……。

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