13年5月27日深夜、茨城県境町で悲劇は起きた。自動車修理工の男性・Oさん(36)が就寝中、同町に住む元ビデオ店店員・野村賢志被告(25)に、果物ナイフで胸を数回刺され、出血死したのだ。同年11月に水戸地裁が下した事件の判決は、懲役18年の求刑に対して、懲役16年だった。

野村被告は公判中、犯行を大筋で認めながらも、「Oさんの妻と意思を通じていた」と共犯関係を主張し続けた。Oさんの妻(37)と野村被告は、境町のレンタルビデオ店でアルバイトする同僚。その妻に惹かれた野村被告は「Oさんさえいなければ」と凶行に及んだのだが、Oさんの妻も共犯であると法廷で示唆したのだ。
「確かに、隣で寝ている妻に気づかれずに、夫だけを刺殺するのは難しいことと思えるし、事件当日、Oさん宅の玄関が施錠されていなかったことも、注目されました。さらにOさんの妻が野村被告に作ったという、ハート型のウインナーが入った弁当の写真も、証拠として提出されています」(地方紙社会部記者)

だが、地裁の佐藤裁判長は判決理由で「(妻から)明確な殺害の依頼などはなく、意思を通じ合っていたとは認められない」として、被告の主張を退け、検察側の主張する単独犯説を採った。

Oさんの妻は初公判の法廷で、「人に罪をなすりつけようとしているなんて、主人がかわいそう」と、か細い声で述べ、共犯関係をキッパリと否定している。

地裁は"妻との共犯関係"自体が、ストーカー特有の「妄想」であると断じたのだろう。

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