他社との競合に破れ倒産寸前となった電子部品メーカー、青島製鉄所。会社の起死回生をはかり、奮闘する男たちを描いた『ルーズヴェルト・ゲーム』は、あの『半沢直樹』の著者、池井戸潤氏原作による話題のドラマだ。本作では、大島製鉄所とライバル企業の激しい攻防戦が見どころとなっているが、どうやら現実の世界でもドラマさながらの熱いバトルが、東芝とサムスンの間で繰り広げられているようだ。

この5月、東芝は「NAND型フラッシュメモリー」(3Dメモリ)の競争力を強化するため、四日市工場に3年間もの期間にわたって設備投資を行うと発表した。投資は提携先であるアメリカのサンディスクと折半し、数回に分けて実施されるとのこと。省エネ製造設備を配置するなど環境面にも配慮した次世代モデルの工場で、これらの投資にかかる費用はなんと7000億円規模。これだけ莫大な資金をかけて、東芝がNAND型フラッシュメモリーの製造を強化に乗り出したのは、当然ライバル企業のサムスンを意識してのことだ。

もともと、NAND型フラッシュメモリーは1987年に東芝が開発した技術。しかし現在、市場シェアはサムスンが34.7%と業界トップで、32.2%の東芝がその後を追う形となってしまった。これまでにも最先端技術でしのぎを削ってきた両社だが、東芝が今回の設備投資で次世代型3Dの開発・量産に成功すれば、巻返しも十分期待できる。

東芝が再び世界1位に返り咲くことはできるのだろうか。『ルーズヴェルト・ゲーム』のような「逆転劇」をぜひとも見せてほしい。

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