今、働く庶民たちの悲鳴が鳴り止まない。

「象徴的なのが、5月29日にインターネット上を駆け巡った牛丼大手『すき家』の従業員による"ニクの日(29日)にストライキをしよう"との呼びかけでした」(全国紙社会部記者)

すでに、すき家を運営するゼンショーの過酷労働には多くの批判報道がなされており、"ブラック企業"との汚名まで冠されていた。

「最大の理由は人手不足。午前0時から働き、14時に終業。ひどい時には、その間、ずっと"ワンオペ(ワンオペレーション)"勤務もあった。これは、シフトに一人で入ること。つまり会計から掃除、在庫、金銭管理、翌日の仕込みまで、たった一人でこなす激務。"このままでは死んでしまう"と、この従業員は反旗を翻したんです」(前同)

会社にこき使われ、庶民が苦しむギスギス社会――
とりわけ働き口が限定されるシングルマザーの多くは、書くのもためらわれるほど"青息吐息"だ。

「働くシングルマザーの半数以上が非正規雇用労働者で、平均年収は200万円程度。ただ、これはあくまで平均。実際には100万円ほどの年収しか確保できない人も、多くいます」(全国紙厚労省担当記者)
これでは、"普通の生活"どころか、子育ても難しい。

いわゆる"中間層"家庭のお父サンたちからも、ため息が洩れている。
「家族のためにと購入した家が結果的に首を絞め、住宅ローン地獄に陥るのもしばしば。最近では65歳までに完済できず、退職金で残金を支払った結果、老後の資金がショート。生活の不安に怯えている人も、少なくありません」(前同)

これが現状である。
我々には、安倍晋三首相が喧伝する「アベノミクス」による株価上昇も景気対策も、なかなか実感できないのが正直なところだ。

なのに、なのにだ。
お上は、さらなる鞭打ちを敢行した。

今年4月から3%も上乗せされた"消費増税"が、それだ。

『TVチャンピオン』(テレビ東京系)第4、5代のB級グルメ王・柳生九兵衛氏が、怒りを込めて言う。
「4月の消費増税以降、"外税表示"が世に氾濫。たとえば、牛丼屋で300円使うと、計324円になる。1円玉が煩わしいかぎりです。それなら10%のほうがイイ、と庶民に思わせる安倍首相の悪計としたら、したたかなものです」

柳生氏が言うように、来年10月には10%と、さらに増すことが既定路線になりつつある消費税。

「10%になれば、年収300万円世帯で、負担額は平均19万1764円。消費税だけで、給料1か月分弱が吹き飛ぶ計算です」(全国紙財務省担当記者)

これだけではない。
この6月からは復興特別住民税も徴収される。
さらに来年には所得税や相続税の控除額が引き下げられ、実質増税に。
加えて国民年金保険料、国民健康保険料も大幅値上げ……サッカーW杯に国民が「ニッポン、チャチャチャ!」と熱狂する中、ドサクサまぎれに怒濤の"国民負担倍増計画"が粛々と進行中なのだ。

「これらはほんの序章にすぎません。安倍政権の"庶民殺し"大作戦は、これからがいよいよ本番」(前同)

まず、血祭りに上げられるのが、年々増え続けている派遣労働者(2013年現在=127万人)たち。

これまで、派遣労働は特定26業種だけを例外的に認めてきた。
それを全業種に対し、3年を超えて雇用できるようにと法改正を目指している。

「これで、企業はますます正社員の雇用枠を縮小し、結果、社会には不安定な雇用の労働者が溢れることになる」(前出・社会部記者)

この悪法は、来年4月から施行予定だ。

一方、これら派遣労働者の不安定雇用是正を目的に安倍政権が打ち出したのが、"限定正社員"制度。
「転勤や残業がなく、業務が"限定"された働き方です。派遣社員と違い、雇用期間に定めがない。賃金も非正規社員より高く、賞与も支給される。社会保険にも加入できます」(前同)

これは、非正規社員と比べ、比較的、安定した雇用形態に思える。
が、しかし、
「企業にとって、業務縮小や、勤務地閉鎖時に容易に解雇できるという、おいしいメリットがあります。企業がこの制度を"正社員の格下げ"に利用する恐れもあると、反発の声は少なくありません」(同)

恐るべき、安倍政権の"庶民殺し"。
その魔の手は正社員にも迫っていた。

第1次安倍政権(06年9月~07年8月)下、悪評が噴出し葬り去られた"ホワイトカラー・エグゼンプション"、別名・残業代ゼロ法案が、またもや表舞台に登場しているのだ。

同制度は、労働時間に関係なく賃金を一定にするというもの。
安倍首相が、前のめりで進める政策だ。

「これまでも、管理職のポストに就いたり、一定の年収(800万円)を超えたりしたら残業代はゼロのケースもありました。それと同じで特段変わったことはないと、首相は触れ回っています」(民主党中堅議員)

ただし、いったんこの制度が導入されれば、対象職種は増えに増え、ついには一般社員も残業代ゼロの対象になる恐れもあるという。

「企業の側としては、残業代ゼロ法案を悪用して"名ばかり管理職"を乱発、残業代カットを目論むのは当然の理です」(前同)

さらに、正社員を追い詰めるのは、現在、政府税調が導入を目指して本格議論に入った配偶者控除や、3号被保険者(年収130万円未満)の廃止だ。

「実施されれば、専業主婦家庭は、多大なダメージを受けることになります」(前出・厚労省担当記者)

バリバリ働く妻・アッキーこと昭恵夫人を持つ安倍首相には、どうでもいい話か!?


"死亡消費税"までもが検討中

地獄のような世情を生きるのは、現役世代ばかりでない。
あろうことか、定年退職を経て、ゆとりの老後を夢見ていた高齢者までが餌食にならんとしている。

「現在、公的年金の支給開始年齢は、国民年金が65歳で、厚生年金は段階的に65歳へと引き上げている途中。そんな中、田村憲久厚労相は"(支給開始年齢)75歳までの拡大を検討する"と公言しました。増え続ける社会保障費の抑制が名目とはいえ、これでは詐欺も同然です」(社会部記者)

加えて、これでも飽き足らず"死者からも税金を取ろう"と画策中だという。

「社会保障清算費、いわゆる"死亡消費税"構想まで政府内では検討中。これは、死亡時に残した財産から一定の税率で税金を徴収するもの。検討段階ですが、導入される日もそう遠くないと見られています」(通信社官邸担当記者)

一方、これら庶民イジメとは別に、安倍首相は大企業への大甘税金政策を連発。
「その象徴が、法人税減税。首相は現在の法人税の実効税率約35%を"将来的には25%、当面、数年以内に20%台への引き下げを目指す"と経済界に確約してます」(全国紙経済部デスク)

減税によって企業が活性化し、税の自然増を当て込むとの触れ込みだが、
「かつて、レーガン米政権が"減税すれば増収になる"と実行した政策と同じ。ただ、同政権が大幅減税を実施した結果、巨額の財政赤字を作り出した。後世、この政策は"呪術的経済政策"と揶揄された。安倍首相は、その二番煎じを演じようとしているんです」(前同)

そのうえ、日本を支えてきた「安定雇用」さえブチ壊す政策も出現。
「安倍首相は、今秋の臨時国会に"解雇しやすい特区"法案を提出しようとまでしています。同法案の狙いは、従業員の解雇基準を緩やかにし、外国企業の日本投資を促進することです」(同)

すでに、東京、大阪、愛知の3大都市圏が"解雇しやすい特区"候補として挙がっているという。

「大企業びいき政策は、これだけではない。取り沙汰されている1000万人の外国人移民を受け入れ施策も、経済界の意向を強く反映したもの。経済成長、少子高齢化、雇用問題の解決策と言います」(前出・官邸担当記者)

しかし、他国を見るに、
「移民政策を採用した欧米先進国が、治安悪化や格差拡大など"国家的問題"に発展している現実を無視しているんです」(前同)

労働学専門で、元法政大教授の五十嵐仁氏が言う。
「長い目で見た場合、これが実施されたら、外国人労働者の低賃金に連動し、日本人の労働賃金を下げることにも直結するでしょう。そもそも、4月に実施された消費増税ですが、これは社会保障に回すという名目で国会通過したもの。なのに、年金支給年齢の繰り上げに見られるように、社会保障改善には"1銭"だって回っていません。安倍政権はインチキ集団です」


サラリーマンに逃げ道はない

社会評論家の小沢遼子氏も、怒り心頭だ。
「安倍政権は、庶民からカネを搾り取ることしか考えていません。今後も企業・法人が優遇され、庶民は税金をむしり取られる流れが続きそうです。じゃあ、個人レベルで生活防衛をするには、どうしたらいいかって?首相の悪知恵を前にして、残念ながら妙案は浮かびません」

国民の9割が年収100万円以下になる"年収100万円時代"の到来をも予測する経済評論家の森永卓郎氏も、こう指摘する。

「生活防衛策はないと言っても、過言ではありません。かつて、安倍首相の政治の師・小泉純一郎元首相は、新自由主義を唱え、社会の中に格差を生み出しました。翻って安倍首相は、小泉氏の比でなく、徹底的にサラリーマンを追い詰めようとしています。逃げ道はなく、今後、我々庶民は貧乏暮らしに耐えるくらいしか、道は残されていません」

高支持率を背景に好き放題。そんな安倍首相のなめきったやり方を黙って見ているわけにはいかない!

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