ビジネスの熱い市場としてよく耳にするのが、シニア層をターゲットにするという戦略である。彼らはお金も時間もある。そして実は若者よりエネルギッシュ。

先日も【「思い立ったら旅」軽キャンピングカー人気急増】という記事が。

《軽自動車やミニバンを改造した廉価なタイプが、旅好きのシニア世代の関心を集めている。「思い立ったら、すぐ旅立てる」のが魅力で、2000年に2000台程度だったキャンピングカーの国内販売台数は年間5000台規模に成長している。》(読売新聞)

シニア層の旺盛な人生の楽しみ方には驚くが、そこまでいかなくとも「お金を落としたがっている」層がある。かつてのゴールデンタイムのプロレスで育った世代だ。

最近は新日本プロレスが頑張って新規ファンを開拓しているが、それとは別に「プロレスシニア層」もまた活発になってきた。

例えば、過去の映像を集めた集英社のDVDシリーズ「燃えろ!新日本プロレス」は累計130万部突破したというし(4月時点で)、双葉社からは「俺たちのプロレス」、「プロレス 熱狂リング「衝撃事件」の真相25 レジェンド誕生の瞬間」というムックが続々と出ている。各週刊誌ではかつてのプロレスを振り返る企画がとにかく多い。

ここ数年でも、藤波、長州、初代タイガーが揃った興行「レジェンド・ザ・プロレスリング」旗揚げ戦が超満員になったり、前田日明や高田延彦が出演するトークライブの盛況だった。観客はすべて「プロレスシニア層」だった。皆、あの頃の時間と空間を買っているのだ。

重要なポイントは、現在も会場に足を運ぶ現役シニア組もいるが「今はよくわからないがプロレスは好きだった」人があらためてプロレスを観たがっている、読みたがっていることだ。

ここでひとつの仮説を言う。プロレスシニア層が夢中でプロレスを観ていた頃は情報は多くなかった。ネットもなかった。答えがすぐに出ない。結果、ワクワクと想像が自分のなかで熟成されていった面がある。イエスかノーかの二者択一をすぐに迫られる今、あの頃の余白のある(それこそプロレスグレーゾーン的な)空気にもう一度浸ってみるという潜在的な欲望があってもおかしくはない。決してそれは懐古主義ではないと思うのだ。教養としてのプロレスアプローチである。

ん?教養としてのプロレス・・。

そうだ、私の新書「教養としてのプロレス」(双葉新書)も読んでみてください。プロレスビギナーもシニア層も楽しんでいただける内容だと思うのです。

最後、堂々と告知させていただきました。

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