これはいったい何者だろうか? 体からは無数の手が伸び、それぞれに意思があるかのように、いろいろな方向で激しく蠢いている。まるで今流行りの妖怪でも連想させるような、ある生物が話題を呼び、ネット上を震え上がらせている。

シンガポール沖で捕獲されたその妖怪、いや、生物は、幸い人間に危害を加えることはなく、もちろん憑りついて苦しめることもない。餌とするのは、海でのプランクトンや小さな生物で、しっかり咀嚼しながら食べているらしい。

実はこれ、「ヒトデ」や「ナマコ」の仲間である「バスケットスター」という生き物なのだ。

さらに驚くことに、無数に見えている触手は、複数のバスケットスターが密集して集合体となったものだという。通常、触手は5本だが、1つの生命体と見せかけるために、群れを成し、いくつもの触手があるようにみせかけているようだ。

バスケットスターのように、群れで行動する生物はたくさん存在している。よく知られている魚といえば、イワシである。水族館などではポピュラーな光景で、大量のイワシの群れが一定方向で忙しなく泳いでいるのが印象的だ。

小さくて弱い彼らは、そうやって群れをなし、自分たちが大きな生物だと錯覚させることにより、外敵から身を守る術を本能で知っている。

バスケットスターも、単体では小さくとも、群れて集合体となることで、その見た目の不気味さで身を守って生きているのかもしれない。

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