今春からアフリカ西部で猛威を振るい始め、いまや全世界を震撼させているエボラ出血熱。これまでに死者数は8カ国で5689人、感染者数は1万5935人にも達した(WHO調べ。2014年11月28日現在)。いつ日本に襲来するかわからず、不安に身を震わせている人も多いのではないだろうか。

しかしながら、感染症が広がっているのは、これだけではない。信じがたいだろうが、いま世界各地でさまざまな感染症が広がりつつあるのだ。

例えば日本。今夏はデング熱が話題になったが、冬といえば、激しい嘔吐や下痢を引き起こすノロウィルスが有名。今年も東京都、埼玉県、千葉県、大阪府の都市部で感染者が増加し始め、流行の兆しを見せている。ノロウィルスは通常なら数日で回復し後遺症はないものの、乳幼児や高齢者だと吐瀉物をのどに詰まらせて窒息死したり、誤嚥性肺炎を誘発することもある。さらに恐ろしいのは、その感染力の高さ。静岡県の小学校19校では、1271人が集団感染し、その原因は学校給食の食パンに付着していたノロウィルスだったというから驚きだ。さらに大規模になればと考えると、これを甘くみてはいけない。

一方、アフリカの島国マダガスカルではペストが流行していていて、すでに40人が死亡したという報道も。人口が集中する首都でも感染が確認されているため、WHOでは警戒を強めている。ペストは野生のネズミなどからノミを介して広がるペスト菌が病原だが、致死率が高い肺ペストは人から人に感染するというから恐ろしい。

さらに、メキシコ湾の南に位置し、世界中のセレブから人気の高いカリブ海地域では、チクングニア熱が流行中だという。これは、蚊の一種である、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどが媒介するウィルス性の伝染病で、感染すると40度の高熱、手や手首、足首といった関節にも激しい痛みといった症状が現れる。発熱は数日で収まるものの、人によっては関節の痛みが数ヶ月から数年続くそうだから、なんとも痛ましい話だ。ワクチンや有効な治療法もなく、時には死に至るというから、看過できない。日本では検疫感染症に指定されているが、WHOによるとカリブ海地域では昨年12月に初めて確認されてから10月末までに約74万人に感染、死亡者数は118人と、アウトブレイク状態だ。世界有数の観光地だけに、渡航には注意したい。

エボラ出血熱に収束が見られないなかでのこの事態。2015年は“感染列島”ならぬ、“全世界感染元年”になるのかもしれない。

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