1997年10月21日
全日本プロレス 日本武道館
三冠ヘビー級選手権試合
○三沢光晴●小橋健太
32分55秒 タイガードライバー‘91からの体固め
※三沢が6度目の防衛に成功(第17代王者)


ジャイアント馬場が泣いた激闘

「最強」を自任していた髙田延彦が『PRIDE』でヒクソン・グレイシーに敗退。
プロレスファンが大きな衝撃を受けたその10日後、日本武道館大会で6度目の三冠防衛戦に臨むことになった三沢光晴。
相手は小橋健太。
試合前日、小橋が母親に「オレが死んでも三沢さんを恨まないでくれ」と告げたことで知られる“覚悟の三冠戦”から9カ月。大阪から東京へ舞台は変わっても、“三沢と小橋にしかできない激闘”は健在だった。
三沢のエルボー。小橋がケサ斬りチョップを返すと、三沢はローリング・エルボー。それでも倒れない小橋がラリアット。カウント3寸前で返す三沢。
次の瞬間、実況中継で副音声を担当していた日本テレビの金子茂アナウンサーが叫んだ。
「主音声のジャイアント馬場さんは泣いています!」

師の涙腺をもゆるませた32分55秒の三冠戦。
それは心に霧が立ち込めていたプロレスファンに、プロレスファンであることのプライドを取り戻させる闘いでもあった。


選者◎市瀬英俊
元週刊プロレス記者。90年代に全日本プロレスや三沢光晴の最も近くにいた人物の一人として知られる。とくに四天王とは年齢が近いこともあって、親密な関係にあった。


『俺たちのプロレスvol.2(双葉社スーパームック)』より一部抜粋、全編は本誌にてお楽しみください。

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