飼い犬に手を噛まれる程度ならばまだしも、手塩にかけて育てた息子に銃口を向けられてしまっては……。
去る1月のこと。アメリカ・ニューヨーク州マンハッタンの高層コンドミニアムでトーマス・ギルバート氏(70)が息子のトミー・ギルバート(30)に射殺された。
トーマス・ギルバート氏はヘッジファンドのウェインスコット・キャピタル・パートナーズ・ファンドの創設者。ウォール街ではその名を知らない者はいないとまで言われ、その資産は2億ドルとも言われている富豪だ。そして、その息子は跡継ぎ……ではなかったようだ。
情報をまとめると、ギルバート氏は息子に毎月、アパートの家賃2,400ドル(約28万円)に加え、600ドルの生活費を渡していたという。つまり、ニートだったワケだが、生命線だった小遣いを200ドル減らされることになった。そして、この件を巡って口論になり、息子が親を射殺……という流れだ。しかも、自殺に見せかけるために息絶えた父親の手に銃を握らせたという。

ニートがマネーをニードした結果の惨劇……なのだろうか? というのも、父親は息子が30歳になるまでこのような育て方をしたのも事実。あ、冒頭で“手塩に〜”と書きましたが、砂糖並みに甘い育て方じゃないか!
それはさておき、もしも、200ドルをケチらなかったら、この2億ドルの資産を持っている親は殺されなくて済んだのではないか?

ニートが金を無心した挙句に親を殺すという事件は日本でも起きている。2010年4月に愛知県豊川市で発生した『ニート一家5人殺傷事件』が記憶に新しいだろう。
この事件の容疑者も犯行当時は奇しくもギルバート氏の息子同様に30歳。そして、動機は親の名義で口座を作り、ネットオークションで借金を重ねた結果、父親がネットのプロバイダーを解約。それに腹を立てて父親や姪を殺害。母親なども負傷させた挙句に家を半焼させるという惨劇だった。
堕落するのは自分の勝手だが、親を殺すのは言語道断。なによりも、そのニードの“財源”が誰だったのか? それを考えれば、このような事件は起こらなかったのではないか?

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