最近、音楽の世界で話題の「ハイレゾ」という言葉。ニュースにも取り上げられているので、耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

「ハイレゾ」はひとことでいうと、新しい音楽データ規格の通称のことです。日本ではおもにソニーが旗振り役となっていますが、他のメーカーからもハイレゾ対応のヘッドフォンや再生機器が発売されはじめています。

今回はそんな『ハイレゾ音源』の現状と将来について、「まだ知らない」という人向けにざっとまとめてみましょう。

まず「ハイレゾ」とはざっくりいうと、

・音楽CDよりもデータ量の多い音源
・音楽CDよりも収録されている音域が広い音源

小難しいスペック面の話はさておいて、この2つがハイレゾかどうかの定義となります。

「音楽CDよりも情報量が多いデジタル音源」をハイレゾと呼ぶと思ってかまいません。

これまでの音楽CDでは、耳でほとんど聞きとれない音域は切り捨ててデジタルデータにしていました。そのCDが切り捨てていた音域までしっかりと拾って、なおかつ1音1音のデータ量も増やして、なるべく原音に忠実なデジタルデータにしているのがハイレゾ音源ということです。
映像で例えるなら、DVD(SD画質)がブルーレイになった(HD画質)のと同じようなことですね。
同じ曲であっても、ハイレゾ音源のキメの細かい音質で、ガラッと表情が変わるとも言われています。

原音に忠実で高音質なハイレゾ音源は、国内外の大物ミュージシャンからも支持されていて、日本でもファンの多いニール・ヤングは、自らハイレゾ音源プレイヤーを開発し、配信サービスサイトまで立ち上げたほど。

ただし音が良いからといって、すぐ流行するかというとそう簡単ではないかもしれません。

まずは音源の問題。
当然ながら、同じ曲をデジタルデータにしたとき、ハイレゾ音源はCDよりもデータ容量が多くなります。CDに比べてデータ量は約6.5倍。ということは、もちろんハイレゾ音源はCDディスクには収録できませんから、現状ではネットのダウンロード配信のみでしか入手できません。

さらにハイレゾ音源は、通常の音源よりも価格が高くなります。
たとえば松田聖子の名曲『渚のバルコニー』。
インターネットの音楽配信で購入するなら、通常の音源では257円ですが、ハイレゾ音源は540円と、倍以上の価格で売られています。お気に入りのコレクションをぜんぶハイレゾに切り替えようと思ったら、けっこうな出費となってしまうのです。

そして、次は機材の問題。
購入したハイレゾ音源を再生するには対応のプレーヤーかアプリが必要になります。
さらに、ヘッドフォンやスピーカーもハイレゾ対応のものを用意する必要があるのです。

たとえばiPhoneの場合、「ミュージック」のアプリではハイレゾ音源は再生できませんし、ヘッドフォン端子もハイレゾ出力に対応していません。

なので、ハイレゾ対応のプレイヤーアプリをインストールし、DACと呼ばれる外部機器をLightning端子で接続してはじめて、ハイレゾ音源を楽しむことができるのです。

ただ、すでに「Xperia Z3」など一部の最新スマホでは、ハイレゾ対応のヘッドフォンを接続するだけで高音質のハイレゾ音源を楽しむことが可能となっています。今後、対応機種が増えていくのは間違いなさそうです。

最後に音質の問題。
ミュージシャンやマニアの人はいざ知らず、一般の人がいますぐハイレゾ音源を必要とするかどうか。今の音楽プレイヤーで「音が悪い」と思ってる人はほとんどいないのではないでしょうか。高音質で何が変わるのかも、なかなかわかりません。

もし気になるなら試聴してみましょう。
家電量販店のヘッドフォン売り場にはハイレゾコーナーが設置されていて、簡単にハイレゾ音源を試聴することができます。

筆者もさっそく実際に某家電量販店に足を運んで、ハイレゾ対応のヘッドフォンで試聴してみました。たしかに音がくっきりと聴こえて、とてもクリアな感じでした。

そのとき対応してくれた店員さんによると、
「今ハイレゾを楽しんでいる人は、これまで持っている音源をすべてハイレゾにしているわけではなく、特にお気に入りの曲を選んでハイレゾを購入しているんだと思いますよ」
とのこと。

現状では一部のマニア向けで、普及まではもう少し時間がかかりそうなハイレゾ音源。ですが、音源の価格が下がったり対応機器が手軽に入手できるようになれば、今後人気に火がつく可能性はあります。注目しておく価値は十分にアリ、ですよ!

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