JRが国鉄だった頃から駅の売店としてお馴染みの「KIOSK」。語源はトルコ語で「あずまや」を意味する言葉とされていて、そこから主に新聞や飲み物、軽食などを扱う小さな売店として英語で「KIOSK」と呼ぶようになった。
この英語の「KIOSK」をローマ字風に読めば「キオスク」になるのだが、日本語での読み方は現在、「キヨスク」もしくは「キオスク」の2種類が一般的だ。なぜ2つの読み方があるのだろうか。

1932年に鉄道弘済会が鉄道事故などで一家の働き手を失ってしまった遺族(鉄道殉職者の妻が多い)に働き口を確保することを目的として、国鉄の駅で売店の運営が始められた。
1973年にそのイメージを一新してイメージアップするため、鉄道弘済会はその愛称を決めるにあたり、「清く(キヨク)」「気安く(キヤスク)利用していただきたい」という思いから、「KIOSK」の表記を「キヨスク」と読むようにした。こうやって国鉄の駅にある売店を表す固有名詞として「キヨスク」は誕生したのだ。

この後、国鉄が1987年に6つの地域別の旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社などに分割民営化され、JR東日本管内の駅などにある「キヨスク」は「東日本キヨスク株式会社」が経営することになる。
設立当初は駅売店の売上シェアのほとんどをカバーしていたのだが、小型コンビニ業態店「NEWDAYS(ニューデイズ)」への移行など駅構内ビジネスの環境変化により、2000年頃から低下の一途をたどってしまう。
これにより社名とそぐわなくなったため、2007年に「東日本キヨスク株式会社」は「株式会社JR東日本リテールネット」に社名変更。それとともに、「KIOSK」の読みをJRグループ共通の「キヨスク」から「キオスク」と改めることになった。
しかし、JRの他社グループが追随する予定がないため、現在、「キヨスク」と「キオスク」という2つの読み方が存在しているのだ。

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