国境付近に穴を掘ってトンネルを作り、隣の国アメリカへ麻薬を運ぶ……映画のシーンで見るようなことが実際に行われていたのが国境の町、メキシコのティファナだ。しかし、そのトンネルも今は昔。今では最新技術を使い、空輸しているのだという。そう、今話題位の小型無人飛行機の『ドローン』を使っているのである。
アメリカの麻薬取り締り局によると、2012年以降、麻薬の密輸に使われたドローンは、なんと150台ほどになるという。低空を飛行できるドローンはレーダーで補足することが難しく、密輸には最適。いまや完全に定番の密輸手段になっているのだ。

実際、先月にはティファナで依存性の高い“クリスタル・メス” とも呼ばれる麻薬・メタンフェタミンを積んだドローンが墜落しているところを発見されている。その時の積載量は3キロほどで、少ないように思えるが、精製されたものは末端価格だと2億円以上になる。
麻薬カルテルの中には、100キロもの麻薬を運ぶことができる大型ドローンを自主制作している組織もあるというが、小型のドローンでも十分に“商売”になるのだ。

ちなみにその時に墜落したのは、『Spreading Wings 900』というプロペラが6つ付いた機種で、日本にも輸入販売されている。価格は税込で約18万円とそれなりの値段がするだけあって、その性能は高い。機体の一部にはカーボンファイバーが使われ、軽さと堅牢性を実現。飛行時間も1万円程度のおもちゃドローンが8分程度なのに対し、倍以上の18分程度になっている。なんと5キロ近くのカメラを搭載できるというから、少し改造すれば、ちょっとした重量物も運搬することができるのだ。ちなみにある販売サイトでは完売状態で、次回入荷待ちの状態である。

とはいえ最新テクノロジーを悪事に使うことは言語道断。ということで、日本では人々の役に立つ使い方に期待が高まっている。
日本国内で今まで使われていたドローンは国外製のものばかりだったのだが、初めて国内で量産できるようになり、先日2月20日にデモ飛行が行われた。ドローンがお披露目されたのは、機体を作る菊池製作所の工場がある福島県南相馬市。そう、4年前の原発事故で汚染された地域の放射線計測に使おうというのだ。確かにドローンならば、人が入れない所にも入っていける。無人飛行機ならではの使い道といえるだろう。
発表された量産機は直径90センチ、重さが3キロと小型だが、6キロの荷物を運ぶことができる。また、GPSを使った自動操縦では30分程度の連続飛行が可能だ。このような最新テクノロジーの使い方ならば、大歓迎というものである。

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