エネルギー革命か!? 埼玉県民のうんこ6万トンが最新技術で燃料に!の画像
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我々が日々、垂れ流している排泄物が、有効活用されていることを御存知だろうか? 去る3月20日より埼玉県下水道局は、下水処理施設である新河岸川水循環センター(和光市)において、下水汚泥固形燃料化施設の稼働を始めたのだ。
これまで下水汚泥は焼却処分をしてきたが、この施設では蒸し焼きにして燃料を生成。そして製造された燃料を民間企業に有償で提供し、石炭の代替燃料として有効活用されることになったのだ。

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固形燃料の1粒は意外と小さい

ここで気になるのが、下水汚泥なるもの。家庭排水や人の排泄物など、下水にはさまざまなものが流されるが、その成分の内訳はどうなっているのだろうか? またモンゴルの遊牧民は馬や羊の糞を乾燥させ燃料として使っているが、この燃料の材料も人のうんこがメインになっているのだろうか?
「下水汚泥の内訳としましては、概ね風呂、台所などで出る家庭からの雑排水によるものが5割です。そして、し尿が3割、工場からの排水が2割となっています。これらの有機物分(炭素)が多いほど熱量が確保できて良質な燃料となります。それぞれの汚濁物質に含まれる有機物分の割合は概ね同等ですので、どの配分がベストといった比率は特にないと考えています」(埼玉県下水道局下水道管理課 担当者談)
どうやらうんこだからよく燃えるといったわけではないらしい。また汚泥=うんこというわけでもないのだ。

ちなみに、この施設は一部の既設焼却炉の老朽化に合わせて整備したものだそうで、CO2などの温室効果ガスの排出量を大幅に削減できることが最大のメリットである。従来のように下水汚泥を焼却すると、同規模の焼却炉の場合、年間で15,000トンの温室効果ガスを排出していた。これに対して、汚泥を蒸し焼きにして固形燃料化させることで発生する温室効果ガス排出量は年間6,000トン。つまり、約6割の9,000トンを削減することができるのだ。
「さらに、民間企業が石炭等の代わりに、この固形燃料を利用することにより、年間約6,000トンの温室効果ガスの削減が見込まれています」(前出:担当者談)

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ここで固形燃料が作られるのだ

なお、国内では大阪や熊本などで既に9つの自治体で稼動していて同施設は10例目のケース。現在、日本は消費する石炭のほぼすべてを輸入に頼っているのだが、その量は年間で約1億8000万トンにものぼる。この固形燃料はその石炭の替りを想定しているため、日本経済界にも好影響を与えることになるだろう。

実は記者は埼玉県民。妻からはよく「クソの役にも立たない」と揶揄されることが多々あるのだが……これでも自分のクソは少しは役に立っているようである。

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