日本人なら誰しも、「姥捨て山」の伝説はご存知だろう。しかし、あくまで「お話」の中でのことであって、史実ではないと思っているに違いない。そんな日本人のド肝を抜く事件が、お隣の中国で発生していた。

先月末、中国江蘇省邳州市の荒野で、高齢の女性が布団にくるまれ、寝かされている状態で発見された。
女性は病院に運ばれたものの、翌日未明に死亡したという。女性の身元が分からないため、警察が血液から調べていくとのことだ。

地元の人いわく、この女性は数日前に捨てられて危篤状態になっていたらしい。

ネット上では、女性を捨てた子どもへの批判が殺到する一方で、数日間も放置したと思われる村民に対して、「なぜすぐに助けなかったのか」という声も上がっている。

深沢七郎の短編小説をベースに今村昌平監督が映画化した『楢山節考』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したこともあって、海外にも日本の「棄老伝説」が知られている。

日本の様々な言い伝えの中には、老人の知恵を大事にせよという道徳的観点から、最後には「姥捨て」を諦めるシーンもあるものの、国境を越えて浸透した小説や映画の影響は大きく、「姥捨て」といえば、日本の専売特許のように思われていた感がある。

『楢山節考』では、老女が自ら山へ行く決心をし、息子は泣く泣く老女を背負って山へ行くのだが、中国における今回の事件の真相は、果たしてどうだったのだろうか。

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