アメリカのドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』が話題だ。監督は『セブン』『ファイト・クラブ』のデヴィット・フィンチャー、主演は『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティー』の怪優、ケヴィン・スペイシー。つまり、いまアメリカで最もイケてる2人がタッグを組んだのだから、これが面白くないはずがない。内容はデヴィット・フィンチャーお得意の「中毒性の高い」サスペンス。シリーズはシーズン3まで配信され、いまや国民的ドラマである。

そしてこのドラマの特筆すべき点は、その豪華なスタッフだけではない。実はこの『ハウス・オブ・カード』、テレビドラマではないのだ。映像配信会社が作ったオリジナルドラマなのである。
その映像配信会社とは、アメリカのネットフリックス。加入者は世界に5740万人というまさに「映像配信の巨人」である。ではなぜ、ネットフリックスが人気なのか。その秘密は「自由さ」にある。
ネット配信なので、従来のテレビのように決まった時間にテレビ画面の前にいる必要はない。パソコン、スマホ、タブレットなど、視聴可能な機器さえあれば、好きな場所で、好きなときに好きな分だけ観ればいいのだ。しかも、月額8.99ドル(約1000円)の定額制とケーブルテレビよりもずっと安価。実際、アメリカではケーブルテレビの契約を止める人が続出する「コード・カッティング」という社会現象まで起こったほどだ。

そのネットフリックスが、なんと今年の秋に日本上陸することになった。日本のテレビ業界にとっては黒船来航のような一大事である。しかし、各社、迎え撃つ手立ては画策しており、日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東の在京民放局は看板番組のネット配信を10月から開始。日テレの動画配信サービスhuluも『ハウス・オブ・カード』に続けとばかりに唐沢寿明主演で、初のオリジナルドラマを製作中とのことだ(原作はドイツの人気ドラマのリメイク。D・フィンチャーの対抗馬としてはチト弱い感も)。国内での期待は月額525円で「約9000の豊富なラインナップが見放題」とのふれこみのNTTドコモの配信サービス・dビデオだが、こちらもコンテンツが古く、まだまだ改良の余地がありそうだ。とはいえ、切磋琢磨で、テレビがいま以上に面白いものになれば、視聴者にとっては結果オーライなのだが。
今後、テレビは好きな番組を自分の意思で買う時代になるのかもしれない。平成の維新はテレビ業界で起こる!?

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