「官房長官は"影の総理"と言われるほど、権力が集中するもの。だから、定期的に交代させるのが官邸の論理なのに、今日まで彼が続くとは、さすがだねえ」
ベテランの政治記者がこう溜め息を洩らすのは、菅義偉官房長官のこと。去る5月9日、在任日数が865日となり、宮沢喜一氏を抜いて歴代4位となった。

「現在のトップは福田康夫氏の1289日。当分、内閣改造もないだろうし、このまま大ポカをやらかさずに留任していれば、衆参ダブル選が囁かれる来年夏、歴代最長在職記録となるのでしょう」(同記者)

50%を割り、現在は45.6%(4月実施の世論調査=時事通信)と、じわり支持率低下中の安倍政権を支えるのが菅氏。
「総理の安倍さんと仲が良く、一方で麻生太郎副総理とも近いことから抜擢されたと言われていますが、これはいい意味で大誤算。失言がないのがいいし、ここまでの辣腕を振るうとは!菅氏は安倍さんへの忠誠心があり、首相を目指すような野心もない。それに、実際、話をまとめるのが実にうまい」(同記者)

そう、何よりも凄まじいのが、この調整力。"政界の寝業師"と言われる所以だ。自民党番記者が続ける。
「覚えてます? みんなの党の渡辺(喜美元代表)なんか、露骨だったよ。秘密保護法案に反対だったのに、(2013年11月に)菅が一枚噛んだ席で安倍首相とメシを食うや、瞬時に変節し、賛成に転じました。で、ここから、みんなの党は分裂、崩壊を辿っていき、野党再編は絵に描いた餅で終わったわけです」

なんたる策士と驚くなかれ。都構想の是非を問う住民投票が決したばかりの橋下徹大阪市長も、菅氏にしてやられた一人だという。
「これは、もはや永田町の通説です」と前置きしつつ語るのは、政治部デスク。
「昨年末の衆議院議員選挙では、橋下氏、松井一郎氏が"反公明党"を掲げて、公明党が候補を立てる小選挙区からの出馬をほのめかしていました。これをうまく話をまとめて、出馬を止めさせたのが、誰あろう菅氏。交換条件として公明党、ひいては自身による、都構想へのバックアップを口にしたと言われています」

今、あからさまに菅氏と"敵対関係"にあるのは、普天間基地問題での翁長雄志沖縄県知事くらいか。寝業で寝返るか、どうか……。

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