このコラムが公開される頃、私は大阪へに向かっている。鈴木みのるを観るためだ。

9月19日ノア大阪大会でGHCヘビー級選手権・王者鈴木みのると、挑戦者杉浦貴の試合がおこなわれる。この試合を会場で観戦するためにわざわざ休みをとって新幹線に乗って大阪に行く。そこまでして足を運ばせてしまう魅力が鈴木みのるにはある。

プロレスラーの魅力とは何だろう。闘いはもちろんのこと、生きる姿をみせてくれることに私は惹かれる。黙って背中だけを見ていろという姿勢もいいけど、発する言葉も魅惑的だといよいよひきこまれる。猪木、前田、長州、天龍……。一流のレスラーは一流のコピーライターでもあると言われた。

「鈴木みのるの独り言」(ベースボールマガジン社)には人生の実用書にもなりそうな言葉がたくさんある。たとえば「アメ車の“無駄さ”は裏を返せば“余裕”」と題したコラムでは、
「オレさぁ、アメ車が好きなんだよ。無駄なスペース……無駄な排気量……、無駄な大きさ……。その無駄さって裏を返せば余裕だよね。この無駄がオレの心の余白を作っているんだよなぁ~(略)それはカツカツの生活のなかにいたら生まれないものだろう」

大いなる無駄は無駄ではない。無駄にこそ大切なものが隠れている。どこかギスギスした息苦しい時代につくづくそう思う。

先週の週刊プロレス(9月23日号)の鈴木みのるインタビューも読ませた。昨年46歳の誕生日を機に、トレーニングと食事を変革した。その動機を聞かれて「新日本のメインから外れたからだよ。このままいったら俺はいらなくなる」と答え、「俺が面白い状態が続けばいいだけ。そうじゃないのは、あきられた、俺の能力が下がったということだ。それを上げるためのことをやろうと。メインイベントに出なかったら、正直言って意味はないと思ってる」と述べる。

生き方をそのまま答えていた。これだけの意思をもった人を、我々はお金を払えば生で観ることができるのである。そりゃ大阪へも行きたくなる。どんな試合になるか。そこから何が放たれてきたのか。しっかりとこの目に焼き付けてくるつもりだ。

そんな鈴木みのるとは以前に1度だけニコ生の番組でお会いしたことがある。私は鈴木みのる選手に「(プロレスの見方が)変態」と言われた。

いつまでも変態でいたいです。

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