「明日早いから…」と眠くないのにベッドに入るのは逆効果!?【快眠外来】 の画像
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 不眠に悩む日本人は、なんと5人に1人といわれています。ここでは快眠の伝道者「眠りの女王ヒサコ」が、眠れない人々にあらゆる快眠法を伝授。これで今夜は枕を高くして眠れるはず!

「まだ眠くないけど、明日に備えて早めに寝よう」――。これ、一見よさそうなことですが、快眠にとってはまさかのNG。睡眠のメカニズムからすると、まったくの逆効果だそうです。作業療法士、菅原洋平さんのお話を聞いてみましょう。

●ベッドに入るのは、眠気が出てから

ヒサコ:「お肌のためにも睡眠時間はしっかり確保」とか思って、早めにベッドに入るのは、いいことだと思っていました。それが、どうしていけないのですか?

菅原さん:早くベッドに入っても眠くないわけですから、つい、いろいろと考え事をしてしまう。そうじゃありませんか?

ヒサコ:確かに。明日の仕事のこととか、今日あったイヤなこととか、つい考えてしまって、結局すぐには眠れないですね。眠れないとなると今度は、「眠れない」とため息が出たりして……。

菅原さん:脳というのは、そういうことを覚えてしまうのです。すると、ベッドに入ると前頭葉が働くようになって考え事がクセになってしまう。そういう反応を作り上げてしまうのです。よくない循環の始まりです。

ヒサコ:脳って、利口なような、おバカなような……。

菅原さん:脳のメカニズムを知れば納得できます。脳は、起きて光が入ってくると覚醒します。そして、その16時間後に眠くなるのです。6時に起きれば22時ごろには、眠くなるのが自然。ところが平日はなかなか22時には寝られないので、週末に睡眠不足を取り戻そうとして朝寝坊する人がよくいます。たとえば朝10時まで寝ていると、その日、眠くなるのは16時間後の午前2時。ですから明日からの仕事に備えて、早めにベッドに入ったとしてもすぐには眠れません。当然なんです。

ヒサコ:眠れないから、つい考え事をしてしまう……。

菅原さん:そうです。眠れないでいると「私ってやっばり会社がイヤなのね……」なんて思ったり「眠れないのはストレスがあるから……」と思ったり。そんなことじゃない。単に起床をずらしたから眠くなる時間もずれた、それだけのこと。ですから眠気が出るまで、ベッドに入ってはいけないんです。

ヒサコ:ところが、その眠気というのが難しい。仕事中は眠気が襲ってくるのに(汗)、夜になると眠気が去ってしまう。「眠らなきゃいけない時間がいちばん眠くない」という不眠の人の声を聞いたことがあります。

菅原さん:そこまで睡眠のリズムが乱れてくるとなかなか眠気が訪れず、次第に自分で眠気に気づかなくなります。眠る時間だからと頭で考えるのではなく、体で眠気を感じてほしいのです。

ヒサコ:夜、眠気を感じられなくなったら、どうしたらいいのでしょう?

菅原さん:そうなっても、なにかしら眠気のサインはあるはずなんです。ある程度、自分で眠気の定義を決めて、それが出たらベッドに入るようにしてください。人それぞれ違うのですが、たとえば次のような症状です。

□動悸がしてくる □考えがネガティブになる □瞼が重くなる □話に集中できなくなる □だるくなる □ぼんやりする □テレビに集中できなくなる □テレビがうるさく感じる □がまん大会している感じ □かゆい □姿勢が悪くなる □思考が続かない □連想でぐるぐる考え出す……

菅原さん:自分なりのサインを見つけたら眠気の定義にして「それが出たらベッドに入る」ようにします。サインが出ないうちはベッドに入ってはいけません。これを2週間続けると、あくびが出るなどの明確なサインが出るようになります。リズムが元に戻ってきた証拠です。眠気がしっかり出てくるように、脳みそに定義づけしてあげることが大事なんです。

(取材・文/眠りの女王ヒサコ)

菅原洋平さん:作業療法士、ユークロニア(株)http://activesleep.net/active-sleep/代表

青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国家資格作業療法士免許取得。民間病院精神科勤務後、国立病院機構で脳のリハビリに従事。睡眠と生活習慣病、うつ、事故、生産性……などとの関係に着目し、臨床実践。病気を予防し、本来の能力を最大限発揮させるビジネスプランを構築し、睡眠セミナー、企業での睡眠研修などを行っている。「ベスリクリニック」(神田)http://besli.jp/の睡眠外来でも治療にあたる。『思いつきで行動してしまう脳と考えすぎて行動できない脳』『あなたの人生を変える睡眠の法則』ほか、著書多数。

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