絶好調・広島カープを支える「ドラ1じゃない3人衆」の画像
絶好調・広島カープを支える「ドラ1じゃない3人衆」の画像

 交流戦が終わってみれば、広島カープが11勝6敗1分で、誰も予想しえなかった3位――。いつの間にか、セ・リーグでも他を引き離して首位を独走中だ。その大きな原動力となったのが、鈴木誠也外野手(21)だ。交流戦ラストのオリックス戦(6月17~19日)で、サヨナラ、サヨナラ、勝ち越しという3戦連続の決勝本塁打を記録。緒方孝市監督も「神ってる」と、独特の表現で絶賛した。

「ですが、好調の理由は彼だけではありません。このところ広島では、緒方監督に抜擢された若手選手が期待以上の大活躍で、チームに勢いをつけているんですよ」(スポーツ紙記者) 中でも“鈴木に続け”とばかりに奮起するのは、下水流昴(しもずるこう)外野手(28)だ。

 開幕こそ1軍スタートだったものの、6打席4三振で2軍落ちした下水流だが、再昇格した6月10日の楽天戦ではタイムリーを放ち、16日にはスタメン起用に応えて自身初のマルチ安打。「さらに19日にはプロ初本塁打をかっ飛ばすなど、絶賛“確変”中。主力に開幕からの疲れが出てくる夏場に向け、大きな期待が寄せられています」(前同)

 ピッチャーでは、戸田隆矢投手(23)が目立つ。開幕以来、先発と中継ぎを行ったり来たりしていたが、交流戦中に先発に定着し、6月7日の日本ハム戦で3勝目を挙げ、14日の西武戦でも7回を1失点に抑えて勝利に貢献。6月23日現在、3勝0敗、防御率2.56の成績を挙げている。「特筆すべきは、3人とも“ドラ1”で入団した注目選手ではないことです。鈴木は12年のドラフト2位、下水流は同年4位、戸田は11年のドラフト3位でした」(地元紙記者)

 今季年俸は鈴木が1700万円、下水流が810万円、戸田が1970万円で合計4480万円。年俸2000万円未満の孝行息子たちがチームを下支えしているというわけだが、これは決して単なる偶然ではないという。「広島はスカウトに見る目があり、伝統的に足が速く、肩の強い選手を積極的に取る傾向があります。また、現場も選手の育成が上手。黒田、新井、エルドレッドら主力とのコミュニケーションも密で、彼らを手本に、若手がおのずと自分の課題を考え、実践する環境ができているんです」(野球評論家の須藤豊氏)

 世代交代がうまくいかず、苦戦する他球団を尻目に、ニューヒーローとベテランが理想的に噛み合って勝利を重ねる赤ヘル軍団。この「鯉の滝登り」は、もしかすると今季こそ、頂点へと続くのかもしれない。

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