絶好の良馬場で始まった夏の中京競馬。開幕週は速い勝ちタイムが続出した。ところが2週目の土曜日はまさかの大雨。一転して不良まで馬場は悪化した。初日メインの豊明S(準オープン)は前半スローな流れでも1分33秒6の勝ちタイム。それが3日目に行われた同じ芝マイル戦の4Rでは1分39秒5だ。3歳未勝利にしても遅すぎる時計。手のひらを返したような変化だった。

 今週のメイン、中京記念は4年前から夏開催の最終日に行われているが、勝ちタイムは順に1分35秒1、33秒5、37秒1、33秒4。1年ごとに遅い、速いを繰り返している。今年はどうなのか。馬場状態にも注目したいマイル重賞だ。晴雨兼用、どんな馬場でも狙えるピークトラムに好配当の期待をかけたい。今年5歳の牡馬で、2歳時には重賞で連続3着があるが、その後の成長は緩やか。4歳時の3月に一度はオープン入りしたが、降級後は準オープンの壁に跳ね返されていた。

 転機となったのが父、橋口師の引退で長男の橋口慎介厩舎に移ってから。調教方法も変えた。それまでの坂路オンリーからコース追いも取り入れた調整。これがよほどマッチしたのか、転厩初戦で準オープン特別を勝つと、続くオープン2戦も4、1着。2走前は押し出されてハナに立つ不利な展開。この経験を生かし、前走の新潟戦は好位からズバッと決めた。

 成績アップはレース内容の変化にも表れている。瞬発力に欠けるタイプだったが、この3戦の上がり3Fは32秒9、34秒3、33秒8。3走前はデビュー以来の最速上がりだった。「コース追いに変えてからレースでもタメが利くようになってきた。かなり力もつけていますよ」と陣営からも前向きな発言が聞かれている。

 前走後の目標はこの中京記念。準備は着々と整っている。すでにレース2週前のCW追いでは6F80秒3の好時計をマーク。稍重で時計のかかる馬場状態の中で、自己ベストを叩き出しているのだ。2週目の大雨で高速決着が望めない今年の舞台条件。「馬力がある馬だからね」は小牧騎手だ。馬場悪化なら、さらに好走確率が高まるだろう。

 強敵はルメール騎乗のダッシングブレイズ。3走前の落馬でミソをつけたが、再調整しての参戦。やっぱりその決め手が怖い。3歳馬のトウショウドラフタの挑戦も不気味。中京は初重賞を飾ったコース。それもタフな馬場を克服した。斤量面でも恵まれるだけに怖い。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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