新潟の開幕メインは今年もGⅢアイビスサマーダッシュ。直線競馬の1000メートル戦だ。昨年は、この舞台に初参加したベルカントが2馬身差の完勝劇。連覇を狙って今年も参加する。臨戦過程は今年のほうがいい。昨年は直前の外傷でCBC賞を使えず、ブランク明けでの出走だったが、今年はCBC賞をひと叩きしての参戦だ。前走は逃げて3着に終わったが、得意とは言えない左回りコースを思えば内容は悪くない。夏馬らしく、今年も体調は上がっている。

 連覇のカギはズバリ言って枠順だ。どうしても右にもたれる走り。前走でも、そんなしぐさを見せていた。それが左回りが向かない理由だが、昨年のアイビスは理想的に運んだ。コーナーのない直線競馬で引いた枠順が8枠13番。外ラチ沿いを走れたことで、もたれるシーンがなかった。これが完勝劇につながったのだが、仮に内、中枠を引くと、どうなっていたか。ラチを頼れないし、馬群をさばくには操縦性で苦労させられる。取捨は、一にも二にも枠順なのだ。テンのダッシュ力はあるので、最悪でも5枠までには入りたいところ。もちろん昨年のように外の8枠なら連覇が有望なのは言うまでもない。

 ベルカントが内枠を引くと、Vチャンスが拡大するのがプリンセスムーンだ。直線競馬に初参加は昨年の5月。クビ差2着のあと、8月にも2度使って1、2着。オール連対で適性の高さを見せつけた。

 キャリアを積んだ今年の2戦は完勝だった。2走前が前半6番手から突き抜ければ、前走は5番手からあっさり馬群を割った。勝ちタイムの54秒4は昨年のアイビスより0秒3差劣るだけ。重賞でも勝ち負けになる実績を積み上げている。直線競馬がマッチするのはプリンセスの独特な走法にある。前脚を外に振り回すフットワーク。そのためコーナーがある競馬だと、窮屈な競馬を強いられる。コーナーではスピードも落ちる。それが直線競馬だと、ノビノビと言わないまでもスムーズに走れる形。長所である決め手の鋭さが最大限に生かされるわけだ。

 前走後の目標はもちろん、このアイビス。初時計はレース2週前の7月14日だが、坂路で52秒0-38秒1-24秒7-12秒0の速いタイムを馬なりでマーク。順調な仕上げをアピールしている。枠順を問わないのもプリンセスムーンの強みだ。直線競馬の過去5走の馬番は順に3、3、9、13、16番である。内、中、外と、どのコースからでも鋭い決め手を発揮している。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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