朝ドラ『わろてんか』濱田岳のアドリブ演技に用意周到な計算ありの画像
朝ドラ『わろてんか』濱田岳のアドリブ演技に用意周到な計算ありの画像

 葵わかな(19)がヒロインを務める、連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)の放送も、残すところあと3週間弱となった。朝ドラの多くがそうだったように、物語の終盤は“戦争”が一つのテーマになるため、暗い場面も多いが、視聴率は堅調のようだ。

 今回はまず、3月10日の放送回を振り返ってみよう。戦争の色がより濃くなっていく中で、最前線へ向かう若者を勇気づけようと結成された“わろてんか隊”は、上海などを巡り、無事に帰国した。しかし、リリコ(広瀬アリス/23)は、自分に手紙を預けた兵士が戦死したことを知り、ショックを受ける。その後、風太(濱田岳/29)が自分の家に帰ると「あんたが無事に帰ってきてくれたんが、一番のお土産や」と、妻のトキ(徳永えり/29)は涙し、てんは再び藤吉(松坂桃李/29)の幻と語らって、励ましを受ける。風太は、わろてんか隊の第2陣派遣を引き受け、キース(大野拓朗/29)やあさり(前野朋哉/32)たちは、これに賛同。それぞれに逡巡はあったものの、再び戦地に赴くことを決意するのだった。

 この週の放送で最も輝きを放ったのは、わろてんか隊という慰問団の団長となった風太だった。物語序盤からてんを支える幼なじみを好演してきた濱田だったが、30歳を前にしてがぜん、演技の幅が広がったところを見せてくれている。団長としては、毅然とした態度で漫才師たちに檄を飛ばしながらも、思いやりも見せるという、人間くさい風太を見事に演じていた。もともと演技に定評のあった濱田だが、今回の『わろてんか』では、水を得た魚のように、のびのびと芝居をしているように見える。実はこれには、明確な理由があったようだ。

■アドリブは徳永えりと高橋一生が相手のときだけ?

 3月9日放送の『あさイチ』(NHK)のトークコーナー“プレミアムトーク”に濱田岳が登場した。過去の『わろてんか』の名シーンを振り返ったが、驚くべきは濱田のアドリブの多さだ。特に風太とトキのかけあいシーンはアドリブだらけで、VTRで登場した徳永えりいわく、「本当に好き勝手やられてます」とのこと。これに対し濱田は「唯一甘えられるのはおトキちゃんと伊能さん(高橋一生/37)」と話し、風太というキャラ設定を意識しながらアドリブを入れていたという事実を明かした。濱田のアドリブは、風太というキャラをより立体的に見せるためのものだったのだ。そしてこのアドリブは、風太だけでなく、トキを演じる徳永えりのアドリブを引き出すなど、周りのキャラクターにも生命力を注ぎ込んでいる。

 もうすぐ『わろてんか』の放送は終わってしまうが、このドラマの中でMVP級の活躍を見せた濱田の演技は、今後語り継がれるに違いない。4月放送の『わろてんか』スピンオフドラマには、風太夫妻が主役の回もあるので、今後も濱田のアドリブ芝居から目が離せない!

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
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