今週末は、2018年上半期を締めくくる春のグランプリレース「宝塚記念」(阪神競馬場、芝2200メートル)が行われます。僕が初めてこのレースに出たのは、デビュー2年目の88年。パートナーは、この前年、柴田政人騎手(現・調教師)とのコンビでG1「安田記念」を制しているフレッシュボイス(5番人気3着)でした。

 競馬の世界では時として、不思議な縁や、巡り合わせや、出逢いがありますが、この翌年の「宝塚記念」は、まさにそんなレースでした。このレースで僕のパートナーを務めてくれたのは、大井競馬からやって来たイナリワン。初めて跨った「天皇賞・春」の調教では、いきなり全力で走り出し、ようやく止まったのは2周目のゴールを過ぎたあたりで。――おい、おい。これで、本当に、3200メートルを乗り切れるのか!? と、ドーッと冷や汗が出たのを覚えています。

 ところが、いざレースに行くと、きっちりと折り合い、最後は短距離馬のような、ものすごい加速力でライバルを圧倒。その走りは、軽くてコンパクトなボディに超ハイパワーのエンジンを積んでいるような凄まじさでした。

 2度目のコンビとなったこの「宝塚記念」は、「天皇賞・春」のときほど呼吸がピッタリと合ってはいませんでした。それでも、なんとか後続の急追をしのいでG1を連勝しましたが、このときクビ差まで迫ってきたのが、松永幹夫騎手(現・調教師)が乗ったフレッシュボイスだったのです。そして、もう一つ。怪我が癒えたスーパークリークが復帰したため、僕とイナリワンにとっては、これが最後のレースとなりましたが、替わって主戦になったのが柴田政人騎手……なんとも不思議な縁を感じます。

 そこから、90年シンウインド(3着)、91年メジロマックイーン(2着)、92年メイショウビトリア(12着)、93年メジロマックイーン(1着)、94年ベガ(15着)、96年オースミタイクーン(10着)、97年マーベラスサンデー(1着)、98年エアグルーヴ(3着)、99年スペシャルウィーク(2着)、00年ラスカルスズカ(5着)、03年ダイタクバートラム(6着)、04年リンカーン(3着)、05年アドマイヤグルーヴ(8着)、06年ディープインパクト(1着)、07年ポップロック(3着)、08年メイショウサムソン(2着)、09年スマートギア(8着)、11年ビートブラック(11着)、13年トーセンラー(5着)、14年ヒットザターゲット(4着)、15年トーセンスターダム(12着)、16年キタサンブラック(3着)、17年キタサンブラック(9着)とコンビを組み、時には悔しさに顔を歪めたり、ときにはともに勝利の味を噛みしめたりしてきました。

 今年の相棒は、昨年のクラシックを一緒に戦ったダンビュライトです。昨年は手の届かなかったG1の勲章まで、あと一歩……そこを、どう克服するのか。騎手としては乗りがいのあるパートナーです。

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