清原果耶
清原果耶

 8月31日に『透明なゆりかご』(NHK)の第7話が放送された。このドラマは、高校の看護学科に通いながら看護助手をしている、清原果耶(16)演じる青田アオイが、勤め先の由比産婦人科にを訪れる患者や家族たちと向き合い、命のはかなさや強さを学び、成長していくヒューマンドラマである。今回は、アオイの過去が明らかとなり、視聴者の涙を誘った。

 由比産婦人科に、アオイの幼なじみの石澤ミカ(片山友希/21)が入院してきた。思わぬ再会に喜ぶ2人だが、ミカは住む場所もなく、夫も両親もいない過酷な状況での出産を控えていた。

 そんななかでも、笑顔で妊娠経過を母子手帳につづるミカ。そして彼女の傍らには、ボロボロになってもずっと大事にしてきた、自分が生まれてきたときの母子手帳があった。ミカは昔、実の母親から虐待を受けており、自分が生まれたときに母親が書き込みをしていた母子手帳は、唯一、自分が愛されていたと思うことができる宝物だった。幼少期にもそれを見せてもらったことがあるアオイは、ふと自分も昔、母親に冷たくされていた過去を思い出す……。

 アオイの母である青田史香(酒井若菜/37)は、今でこそいつでも笑顔だが、その瞳の奥はどこか冷めており、時折アオイへの過干渉な様子が描かれていた。その理由が、今回明らかになった。

 アオイは幼少期から一つのことに集中すると、周りが見えなくなり、衝動を抑えられない癖があった。そのせいでうまく周囲となじめず、母の史香は「なぜこんなことをするのか」とアオイにつらくあたっていた。

 しかし、それらの行動は“注意欠陥多動性障害”という先天的な障害のせいだと診断され、医師から「お母さんの育て方のせいではない」と言われた史香は、瞳に安堵の光をにじませ、体中の力が抜けたようだった。これまでアオイを叱りながらも、それ以上にずっと自分を責め続け、うまくいかない子育てに、言いようのない悔しさを感じていたはずだ。おそらくこの時期から、親子の関係性は劇的に変化し、少しずつ笑顔が増えていったのだろう。
 
 子どもが幼少期に受けたトラウマは、簡単に癒えるものではない。ふとしたきっかけでその傷は開いてしまう。母親も、傷つけてしまったという思いがなかなか消せず、常に後悔にさいなまれる。お互い歩み寄ることをやめなければ、いつか寄り添って生きることはできる。そしてお互いへの優しさで、少しずつ幸せになっていける。

 ラストでアオイは、史香が書いていた母子手帳を読んで、自分が生まれたときに、母が自分に注いでくれた純粋な愛を感じ、母に少しずつ素直に寄り添っていく。一時はぎこちなくなってしまった親子だったが、アオイの気持ちを感じた史香も、心からの笑顔を見せる。それは今までの笑顔よりもずっと晴れやかで、穏やかだった。親子の関係も、時間とともに変わっていくことはある。それでも今、愛に満ちあふれているこの2人の今後を見守っていきたい。

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