NMB48本郷柚巴の小説家への道もゆずらへんで!【第18回】の画像
NMB48本郷柚巴の小説家への道もゆずらへんで!【第18回】の画像

本郷柚巴の小説家への道もゆずらへんで!

【第18回】 反則のオンパレード【三題噺編part.4】

いつも全力~!   
 
元気!(100%)
笑顔!(100パー!)
果汁~!!(オーッ!!)
せ~の……100パー!!!!
小説家への道もゆずらへんで!(フゥー)
NMB48チームNの15歳、本郷柚巴です!

『反則のオンパレード』も中盤を越えました!

~これまでのあらすじ~
転校生の白井海斗は、転校初日からこれから通う学校に違和感を覚えていた。朝から威嚇してきた猫、豹変する担任、ツンデレの女性教師、態度の悪い校長、さらには生徒たちも……。まったく“歓迎”されていない海斗は、“嫌な感じ”の担任・末永とともに、これから通うことになる教室へと向かう。

 教室までの長い廊下、2人はずっと無言だった。スマホをいじる女子、バカ話している不良っぽい男子たち。なかには、じゃれているという言葉では済まされないほど、本気で喧嘩している生徒もいる。末永は気付いていないのか、見て見ぬ振りをしているのか…。

「末永先生! あそこで喧嘩してますよ」
 
たまらず、海斗は声を掛けた。
「今、時間ないから」
 末永はあっさり返した。
目を丸くする海斗。
――なんだ、この学校…。

 外観は綺麗な校舎、しかし、いざ校内に入ると廊下には、紙クズ、お菓子の食べカス、使用済みマスク、そして極め付けは、これから授業で使うであろう教科書のページがビリビリに破れて落ちている。
――ふっ、どこも一緒だな。

周囲を気にして歩く海斗を見て、
「大丈夫か? 白井くん」
「大丈夫ですよ」と、海斗は冷静に返した。末永は、また「フッ」笑ったように見えた。
 末永は教室前に立ち止まり、海斗の肩に手を乗せた。中からは、なんだか賑やかな話し声が聞こえる。
末永は遠慮気味に扉を開け言った。
「おーい! みんな静かにしろー!」
一瞬、そのザワつきはやんだが、すぐにまた騒音に変わる。

 転校初日の海斗の事には興味は無く、このクラスは普段から風紀が乱れているのが、海斗にはすぐ理解出来た。

「ごめんな、みんな聞いてないっぽいわ」

末永が諦めたように、海斗の耳元で言う。
――携帯を見たり話を聞いていない奴が大半だな。

 どう切り出そうか海斗は自己紹介のタイミングを考えていた。
「先生、大丈夫です。テキトーに自己紹介しますね…」
 タイミングなんて何一つ無いのを振り切って、
「あの…皆さん初めまして。あっ…この学校に転校してきた白井海斗と申します! よろしくお願いします」
 一斉にクラスの生徒が海斗に注目した。
「みなさんだってよ、お前マジメか?」
 1人の男子が冷やかした。
「もうちょっとやめなよ~。可哀想じゃん~、海斗くんが~!」
 近くの女子が、もっと煽るように言った。
「なんで男なんだよ、転校生なら可愛い女の子が良かったなぁ~メンズは無いわぁ」
 いかにも、このクラスを仕切ってそうな短髪の男子がたたみかけてきた。
 全員の視線が、海斗には冷たく感じた。横にいる、担任の末永は何も言わずにただ立っているだけ。
――最低だ…。

 罵詈雑言が飛ぶなか担任の末永は、ただ指をさして
「白井の席は、そこの窓側の1番奥の席だな」
「はい、分かりました」
 自分の席に向かう途中も、あちこちから品定めするような視線を感じる。

「はい、挙動不審者、発見~!」
「ギャハハハハハハー!」
「かわいい~」

 海斗は無視をして周りを見ないように指定された席だけを見て歩く。その海斗の席の隣には、髪が長い茶色のおとなしそうな女の子が座っている。明らかにこのクラスにはそぐわないタイプの生徒だった。
 海斗は席に座るなり、恐る恐る挨拶をした。
「よろしく」
「よろしく、分からないことがあれば聞いてね」
――女神だ…。

 海斗はたったその一言で、気を許しそうになった。それだけでなく、この学校で少し楽しくやっていけるような気さえした。
 教科書を机に入れて自分の席の巣作りをしていると、
パシッ!!
「痛ッ!!!」
 海斗は頬っぺたに何か衝撃を感じた。頬っぺたに手をやって見ると、痛みが走ったと同時に…指先に何かが付いていた。
――血だ…。

 足元には小さい三角定規が落ちている。
 ただ教室は相変わらず、騒ついている。周りを見ても、みんなまるで海斗に眼中ない様子。
――クソッ…。

 先生も気付いていないふりをするので、海斗も救いを求めようとしなかった。相変わらず、クラス内は一人ひとり身勝手で好き勝手。先生の話もまったく聞こうとしない。登校初日から海斗は頭を抱えた。

――また始まるのか…。

 すると、隣の茶髪の女の子が、「はい、これ」と海斗に一枚の絆創膏を渡した。
「あ、ありがとう」
 海斗は、そのかわいいキャラクターのついた絆創膏を頬っぺたに張った。普通は恥ずかしがる年齢だが、海斗はそういうところをまったく気にしない。
「あの、名前は?」
「聖来」
「せいら…聖来さん、あっ…ありがとう絆創膏」
 聖来は微笑みながら首を振ると、心配そうに「大丈夫?」
「平気平気。慣れてるから」
「え? 慣れてるって?」
「あっいや、本当に大丈夫だから! ありがとう!」
――それにしても、登校初日から酷い洗礼だ。今日がこれなら明日からどうなるんだ。参ったな。

 横で心配そうに、海斗をジッと見つめる聖来。色々ありそうだけど、心強い見方がクラスに1人でも居ると思えば、何とか乗り切れそうだと海斗は思っていた。

下校時、もう1度、この学校の校則を読んでいた。
※学校内での携帯使用は禁止
※髪の毛を染めるのは禁止
※校内での飲食禁止
※女子カラー付きのゴムは禁止
※ツーブロック禁止
※スカート膝上禁止
※自転車登校禁止 など…。

 ほかにも事細かく学校の校則が書かれていた。最後まで見るのも嫌になるくらいだ。
 中学生なら当たり前に守っているようなことだが、横を見るとスカートを太ももまで上げ、カラー付きゴムというよりは、カラー付きのシュシュ。男子もツーブロックどころか、編み込みをしている。携帯をいじっては、先生の話を聞かず、寝てる奴もいる。長々とした校則はあるが、実際に生徒たちは、やりたい放題。この学校は反則のオンパレードだった。

――つづく

本郷柚巴の小説家への道もゆずらへんで

本日の新着記事を読む