■菅野智之にお怒り

 その厳しさは、エース菅野にも同様だ。今季は腰痛で3回も登録を抹消するなど、巨人のエースを張り続けた勤続疲労とも思われるが、原監督はお怒りの様子。「マイカーなんて国産車で十分。スポーツカーになんか乗りやがって……」と、周囲に漏らしていたことがあったという。ちなみに、菅野の愛車はポルシェ・カイエンターボ、原監督はレクサスだという。

 伯父、甥という関係からの厳しさもある。「それも、原監督の父・貢さんの教えの一つです」と、貢氏とも親しかった関係者は強調する。東海大相模高校、東海大学とも、父が指導するチームでプレーした原監督。「東海大相模で野球をやりたい、と相談したところ、“息子だから、と周囲から見られることがチームにとって一番のマイナス。ミスしたら普通は5発殴るところ、お前は倍の10発だからな”と言われたそうです」(前同)

 実父の他に、現在の名将・原監督に大きな影響を与えた人物が2人いる。長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督と藤田元司元監督だ。「長嶋監督は選手に対しては非常に厳しく、選手を大人扱いする監督でした。その一方で前任の藤田監督は選手に対する愛情が前面に出るタイプの方でした。私は巨人軍の監督を務めるにあたって、2人の良いところを両方兼ね備えた監督になろうと思いました」という原監督自身の言葉を見れば、現在の采配ぶりにも納得がいく。

「バントを命じたり2軍に叩き落としたりしたゲレーロに、原監督は直接メールを送り、ウォーレン・クロマティを呼び寄せるなど、メンタル面でケアしていた。その結果、ゲレーロは9月15日の阪神戦で起死回生の逆転ホームランを打ち、涙を流していました」(前出の専門誌記者)

 まさにチームを一つにする鉄拳とアメ玉の選手操作術。采配だけではなく、チーム作りまで全権を託される形で監督就任を引き受けただけに、最強軍団を作り上げるまでが、その任務だと言える。

「『巨人軍』でなければいけない。『個人軍』ではいけない。束ねられる一人一人の力を見極め、誰がジャイアンツにとって一番なのか、しっかり観察してチームを作っていきたい」と就任会見で語った原監督。長嶋、藤田、そして父のDNAを受け継いだ男の快進撃は続きそうだ。

あわせて読む:
・巨人次期監督バトル! 松井秀喜と高橋由伸VS原辰徳と阿部慎之助の行方は!?

  1. 1
  2. 2