海外から二つの大きなニュースが届きました。
一つは、ヨーロッパの競馬史上、最高の種牡馬といわれるガリレオの訃報です。送り出したG1馬は、フランケルを筆頭に世界最多となる92頭で、その勲章の数は193に上ります。
ここ数年、イギリスダービーに出走した馬は、ガリレオ産駒か、その血を受け継いだガリレオ産駒種牡馬がズラリと並ぶほどで、圧倒的な存在感を示していました。
今年の凱旋門賞でも、有力馬として名前が挙がっている、G1・4連勝中のラヴは直仔。同じくG1・4連勝中のセントマークスバシリカと今年の英オークスを圧巻の16馬身差で制したディープインパクト産駒のスノーフォールも、母父はガリレオです。
彼が現役で走っていた頃、一緒のレースに乗ったことはありませんが、ちょうど僕もヨーロッパを拠点に騎乗していた関係で、彼のイギリスダービーをスタンドから生で見た記憶があります。
23歳……残念としか言いようがありません。
もう一つは、キーファーズが、クールモアグループと共同所有するブルームが、フランスのG1サンクルー大賞を勝ったというビッグニュースです。
皆さん、このブルームという馬名に聞き覚えはありませんか?
そうです、2年前、僕が凱旋門賞の騎乗オファーをいただいた、あのブルームです。残念ながら、あのときは体調不良のため直前になってレースを回避し、悔しい思いをしました。
5歳となった今年は、3連勝と好スタートを切り、その後も1着1回、2着2回と好調です。
――もしも凱旋門賞のオファーが来たら?
もちろん、参戦します。その時期、コロナ禍がどうなっているのか、分かりませんが、今と同じ、2週間の隔離期間があったとしても関係ありません。
キーファーズには、ブルームと同様、クルーモアグループとの共同所有で、昨年の凱旋門賞への出走を、直前で取り止めたジャパンもいます。
――この悔しさを、いつか必ず喜びに変えよう。
キーファーズの代表、松島氏と交わした約束は、僕が騎手でいる限り、ずっと続きます。
凱旋門賞は、これまで8度挑戦し、サガシティに騎乗した2001年の3着が最高着順。
その都度、世界の分厚い壁に跳ね返されてきましたが、“凱旋門賞を勝ちたい”という思いは、ますます強くなっています。
7月23日から東京2020オリンピックが開幕。野球、競泳、サッカー、馬場馬術と、僕が見たいと思っている競技がめじろ押しです。
いろいろな意見があるのは十分に承知していますが、それでも、4年に一度しか巡ってこないチャンスに、すべてを賭けて挑もうとしている選手を、同じアスリートとして、心から応援しています。土、日は競馬を、それ以外の日は五輪を存分に楽しんでください。
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