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【武豊】夏といえば「小倉」と「海外挑戦」です

人生に役立つ勝負師の作法 武豊
夏といえば「小倉」と「海外挑戦」です



大好きな夏の小倉もいよいよ今週が最終週。

7日のメインレースは、小倉の2歳チャンピオン決定戦、GⅢ「小倉2歳S」(芝1200メートル)です。この時期、海外の競馬場で乗っていることも多く、騎乗する機会が少なかったというのもあるのですが、なかなか運にも恵まれず、僕が初めて優勝したのは、デビュー19年目となる2005年でした。

勝利をプレゼントしてくれたのは、父フレンチデピュティ、母アルーリングアクト、母父エンドスウィープのアルーリングボイス。

この前年、ツルマルオトメをパートナーに参戦したものの、弟・幸四郎が騎乗した4番人気のコスモヴァレンチに優勝をさらわれ、美味しいところを全部持っていかれたので(笑)、初戴冠は二重、三重の嬉しさだった記憶があります。

ディープインパクトが無敗の三冠を達成したこの年の8月は、まず小倉競馬に参戦。"小倉の鬼"メイショウカイドウをパートナーに、GⅢ「小倉記念」を制した後、ゼンノロブロイとともに、イギリス・ヨーク競馬場で行われたGⅠ「インターナショナルS」(芝2080メートル)に挑戦した年でもあります。

僕の36回目の誕生、3月15日に、最高のプレゼントとなる騎乗依頼をいただいたときから、ずっと、楽しみにしていたレース。彼とはこのレースが初コンビでしたが、人馬ともに気負いはなかったと思います。

レースは7頭立ての6番枠からスタート。闘志を内に秘めたゼンノロブロイは、道中、後方2番手に待機。悠然と走るその姿は、「さすが、前年の年度代表馬」。跨っている僕が一瞬、見惚れるほどの逞しさでした。

――勝負は最後の直線!

僕と彼の間では、勝利への道筋も、ピッタリと重なり合っていたと思います。実際、GOサインを送った後の彼の走りは、凄まじいの一語でした。

荒れて、ボコボコになった馬場に脚を取られそうになりながらも、前へ、前へみはと進む豪脚は、目を瞠るものがありました。

日本と違って、イギリスではムチの使用制限があります。1回、2回……心のなかで数えながら、これ以上叩くと、騎乗停止になることもわかっていました。

でも、もう、そんなことは言っていられません。

――罰則が課せられるのは騎手だけで、馬にペナルティはない。ゼンノロブロイの頑張りに応えるのは、いま、ここ、この瞬間です。

結果は、マイケル・キネーン騎手のエレクトロキューショニストからクビ差の2着。手を伸ばせば届くところまで迫りながら、あと一歩のところで大きな勲章を取り逃がし悔しい思いを味わいましたが、堂々と胸を張れる銀メダルでした。

05年は、イギリスからフランスに渡り、帰国直後の「小倉2歳S」で優勝することができましたが、骨折明けの今年は、いったいどうなるのか。まだ何も決まっていませんが、チャンスがあれば、今年、2度目の戴冠を目指します。


■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。

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