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世界30カ国「軍事オリンピック」誌上リポート vol.1

[週刊大衆09月30日号]

7年後、また東京にオリンピックがやってくる。

一流のアスリートたちが競い合い、世界最速、世界一の怪力、競泳のチャンピオンが決定するのは何物にも代え難いドラマだ。
ただ、高速で飛ぶ戦闘機、最強の戦車、向かうところ敵なしの護衛艦に思いを馳せてみるのも悪くない。

そこで本誌は、ここに平和の祭典の対極ともいえる「軍事オリンピック」の開催を宣言!
各国軍の"真の実力"を炙(あぶ)り出してみたい。
「軍事オリンピックですか(笑)。でも、不謹慎な試みではありませんよ。孫氏の兵法にいう"敵を知り己を知れば百戦危うからず"。古来、軍事力の不均衡が戦争を招く。他国の戦力を正確に分析することは、極めて重要。軍事を知ることは、平和を願うことと直結しているんです」(軍事記者・黒鉦(くろがね)英夫氏)

さっそく、各国の"戦争力"を見ていこう。

まず理解しておきたいのが、かつての帝国主義時代とは違い、現在は「他国の領土を掠め取ろう」というコンセプトで軍隊は作られていないということ。

自国の防衛、海洋権益などを確保するために軍隊は存在する。
「露骨な拡大主義を取っているのは中国くらいですね。彼らには、清の時代の最大版図を復活させたいという野心がある。加えて、尖閣諸島に代表されるように、資源の埋蔵する地域も手中に収めようとしているんです」(外務省関係者)

そうした国の軍隊は、兵員や物資を運搬・陸揚げするための強襲揚陸(ようりく)艦、外洋で戦闘機やヘリの基地となる航空母艦を配備しようとする。
中国軍には、これがピタリ当てはまる。
「ウクライナから中古で購入し、改修した空母『遼寧(リャオニン)』が就役。エアクッション揚陸艇4隻、小型揚陸艇2隻を搭載できる大型のドック型揚陸艦『玉昭(ユチャオ)』型を南海艦隊に3隻配備。これらは、大規模な上陸作戦に備えている証拠です」(黒鉦氏)

中国軍は陸軍主体だったが、近年、海空軍力の整備に血眼になっている。
「チャイニーズ・イージスと呼ばれる旅洋(ルヤン)II型駆逐艦や、射程40キロ超の対空ミサイルを搭載した江凱(ジャンガイ)II型フリゲート艦など、近代的な軍艦が次々と就役しています」(前同)

補足すると、イージス艦というのは、米国が開発した対空防衛能力が高い護衛艦のこと。

軍艦の天敵は、空からやってくる戦闘機やミサイル。
これらを高性能レーダーで瞬時に捕捉し、すぐさま対空ミサイルを発射して撃墜するのが、「イージスシステム」だ。

海上自衛隊も「こんごう」型、「あたご」型の2種類のイージス艦を運用するが、イージス艦を持っているのが一流の海軍の証しなのだ。

「中国空軍も近代化を遂げています。ロシアのスホイ27をライセンス生産した殲撃11戦闘機や自国開発した殲撃10戦闘機など、世界標準の戦闘機を運用しています。一応、次世代ステルス戦闘機という触れ込みの殲撃20も開発しており、侮れません」(同)

海空軍の目覚ましい近代化に加え、"人海戦術"で有名な160万人の兵力を擁する陸軍。
さらには、190発の核弾頭が実戦配備されている中国。
ならば、さぞかし精強な軍隊かといえば、さにあらず。

「現代戦の勝敗は、陸海空軍力が三位一体となった統合運用能力で決するとされています。この点、中国軍は日米に大きく後れを取っています。また、中国軍は7つの軍区に分かれていて、それぞれにお山の大将がいるため、統制が取れていません。兵器の密売など風紀の乱れも指摘されており、実戦となれば期待どおりの実力は発揮できないでしょう」(各国軍隊を取材するフォトジャーナリストの菊池雅之氏)

中国はいまだ、"軍閥"が割拠する時代から抜け出せていないようだ。

「中国は核を持つため、肉を切らせて骨を断つ戦争はできる。ただ、国連が機能し、NATOのような集団安全保障体制が整っている現代においては、第2次世界大戦のような総力戦は起こり得ない。現代の戦争は領土を巡る局地紛争の類。中国軍は、こうした現実的なシナリオに対応できていない」(防衛省関係者)

自衛隊は、相手国に攻め入って占領する軍備を持たないが、局地的な紛争への対応は万全。
部隊の士気、練度、兵器の質および可動率(すぐに運用可能な装備の割合)も世界トップクラスとされるため、実は"戦争力"はかなり高いとされる。
「自衛隊が弱いと考えているのは日本人だけ。世界的に見れば"日本は優秀な戦力を持っている"というのが、共通認識です」(黒鉦氏)

それでも中国軍は、総合戦争力では米ロに次ぐ第3位。
陸軍力も同様で、海軍力は5位入賞ならず。
空軍力ではぎりぎり5位といったところ。

では、"中国の子分"北朝鮮はどうか。
「装備の数こそ多いですが、旧式の骨董品ですよ。北朝鮮はまともに戦っても勝ち目がないので、核開発による"恫喝外交"に頼るしかないんです」(前同)

それゆえ、18万人ともいわれる特殊部隊も北朝鮮の命綱だ。
若き将軍様から命が下れば、国内外の特殊部隊員が一斉に破壊工作やゲリラ行動を開始する。
特殊部隊が活躍する戦闘は「非対称戦」と呼ばれ、近代戦では重要視される。

米軍には対テロ戦闘を得意とするデルタフォース(陸軍)、長期にわたる敵地潜入を得意とするグリーンベレー(陸軍)、ビンラディン急襲作戦を成功させたネイビーシールズ(海軍)がある。

ロシア軍には百戦錬磨のスペツナズが、イギリス軍には世界最強と称されるSAS(陸軍特殊空挺部隊)が、自衛隊にも特殊作戦群(陸自・習志野)が存在するなど、いずれの軍隊も特殊部隊を持っている。

9月24日公開のvol.2に続く・・・。

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