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プロレスファンは「想像する自由」を満喫する。

2014-09-20

プチ鹿島の連載コラム 「すべてのニュースはプロレスである」

テニスの錦織が全米オープンで準優勝、田中将大のヤンキースでの活躍&復帰など、日本人が海外で活躍する嬉しい風景。

皆さまにお伝えしたいのは「プロレス」も頑張っているということだ。

そもそもあのジャイアント馬場は若手時代の1960年代にアメリカでブレイクした。野茂英雄、イチロー、松井秀喜よりも先にメジャーでスーパースターになったのだ。稼ぎも天文学的な数字だったという。

そんな日本プロレス界から、また海の向こうでブレイクしそうな逸材がいる。ノアを退団しアメリカに旅立ったKENTAだ。

ファン注目のなか、9月11日(日本時間12日)、世界最大のメジャー団体「WWE」でデビューを果たした。KENTAの技量はもう日本のファンなら知っている。アメリカのファンを虜にするのは時間の問題だ。それより皆が注目したのが新リングネームだ。

「ヒデオ・イタミ」と発表された。

なぜ新リングネーム? プロレスを知らない人にわかりやすく説明すると「エンタの神様」を思い出してほしい。2000年代のお笑いブームをけん引した日本テレビの「エンタの神様」。あの番組のターゲットは濃いお笑いファンではなく土曜夜に自宅でくつろいでいる一般の人々だった。

そこで番組側は各地のライブを見て回り「これは」と思う芸人に声をかけ、番組でデビューさせた。その際、今までの芸名や芸風を番組独自のものに変え「メジャーデビュー」させた芸人が少なくなかった。世界最大のプロレス団体「WWE」に入るとはそういうことなのだ。 「郷に入らば郷に従え」。

KENTAは「覆面もオカマもOK。名前も”TOYOTA“や”TANAKA“に変わってもいい。何でもやる」と言っていた。

そして発表されたエンタの神様、いや、WWEでの新リングネームが「ヒデオ・イタミ」だったのだ。

プロレスファンの真骨頂はここからだ。「ヒデオ・イタミ」の名前の由来を考えるだけで大盛り上がりなのである。まず「ヒデオ」は「野茂英雄の英雄から」というのが確定っぽい。問題は「イタミ」だ。さまざまな推測がある。説をあげていこう。


①映画監督の伊丹十三氏から説。


②7月12日にWWEと公開契約を大阪公演でおこなったので、大阪空港=伊丹空港。つまり伊丹説。


③全米を驚かす活躍を見せている田中将大の出身地である兵庫県伊丹市から説。


④激しいファイトスタイルを「痛み」という響きに投影した説。


いま、週刊プロレスを含め、言われているのが上記の説だ。ここで大事なのはどれが正解か不正解かではなく「推測や想像が楽しい」ことである。これぞプロレスファンの醍醐味。何が「真実」なんて知らない。でも真実に近づこうとワイワイやるのが最高の楽しみなのである。
中には「伊丹明」説を唱える人もいる。日系アメリカ人二世のアメリカ陸軍軍人で、陸軍情報部に勤務し、日本軍の軍事暗号を解読する任務を請け負った人物だ。

ああ、想像する自由。最高ではないか。

私がある筋から聞いた話だと(この表現がもうプロレス的だが)、どうやら「激しいファイトスタイルを「痛み」という響きに投影した説」が濃厚らしい。WWEの首脳陣には「ペイン=痛み(伊丹)」というワードがしっくりきたというのだ。もちろん由来は公式発表されてないのでこれもあくまで説にすぎないが。

情報を楽しむ、想像する。正解をアホみたいにすぐに求めない。

世の中がギスギスしてるので、プロレスファンが「余裕」を独占させてもらいます。


プチ鹿島
PROFILE
1970年5月23日生まれ。お笑い芸人。オフィス北野所属。時事ネタを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。ラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)、「荒川強啓のデイキャッチ」(TBSラジオ)、「キックス」(YBS山梨放送)ほか、TVや映画など多方面で活躍中。





「教養としてのプロレス」(プチ鹿島/双葉社)
2014年8月7日発売 新書判304ページ





今もっとも注目すべき文系芸人・プチ鹿島氏による初の新書が双葉社より発売! 「どの週刊誌よりも売れていた」という90年代黄金期の週刊プロレスや、伝説の編集者・井上義啓氏の週刊ファイトなどの“活字プロレス”を存分に浴びた著者による、“プロレス脳”を開花させるための超実践的思想書。 「半信半疑力を鍛える」「グレーゾーンを許容する」「差別に自覚的になる」等々、著者が30年以上に及ぶプロレス観戦から学びとった人生を歩むための“教養”を、余すところなく披瀝。すべての自己啓発本やビジネス書は、本書を前に、マットに沈むこと必死!

ブログ:http://orenobaka.com/
ツイッター:@pkashima

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