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【すれ違った女達】 2/4話

2014-11-11

岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー

人気タレントの秋絵が私に語ってくれた、その話のもとになった事件。私も、覚えていた。被害者がSM嬢で、加害者がハードな性癖を持つ客。事件のあった時代はまだ、SMは特殊中の特殊性癖、もっとはっきりいえば変態としか見られていなかった。

だから、かなり大きくセンセーショナルに報道された。私は当時の週刊誌に載った被害者の顔も、うっすら記憶している。おとなしそうな、寂しげな顔立ちだった。

ここではミリアとしておく。ミリアは地元ではごく普通の子だったのに、突然「芸能人になる」と上京した。一応は芸能プロにも所属したが、まったく仕事はなかった。

当時はバブル期で、若い女なら誰でもテレビに出られるのかと錯覚させる深夜番組などもたくさんあったのに。ミリアは、そんなところにすら引っかからなかったのだ。

「もうタレントなんて無理だから、せめてお金を貯めて故郷に戻りたい」仕方なく風俗店に勤め、いつもそんなふうにため息をついていたという。

ミリアは風俗勤めでは、かなり貯金もできていた。もともと、真面目で堅実な性格だったのだ。ミリアの転落は風俗に勤めたことではなく、芸能界を夢見たことにあるのではないだろうか。

ちなみに、殺される直前の芸能活動といえば、ストリップ 劇場で全裸になっての放尿ショーだった。

そんなミリアとタレントの秋絵は、何の接点もない。しかし秋絵は、何かの拍子にミリアの運命と自分の運命は入れ替わったに違いない、という。

「どの瞬間に入れ替わったか、まるでわからないんだけど」樹海で獣に食い荒らされていた、無惨なミリアの遺体。

そんな写真が週刊誌などに載るわけはないし、当時はネットもなかったが。秋絵はそれも、見た記憶があるという。

 

岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

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