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プロレス者には、矢口真里がブルーザー・ブロディに見えた。

2014-10-25

プチ鹿島の連載コラム 「すべてのニュースはプロレスである」

矢口真里が復帰した。

昨年5月の不倫発覚後、芸能活動を休止していたが、23日放送の「ミヤネ屋」に生出演し、約1年5か月ぶりに復帰したのだ。

興行サイド(ここでは番組側)はどんな登場演出をするのか?本人の第一声は?永らく姿を消していた当人は「武者修行」のあと、どんな顔つきになっているのか?これはもう完全にプロレス物件である。

やはり「ミヤネ屋」は登場シーンにこだわった。最初にコメンテーター席にカメラを向けると矢口はいない。カメラはそのままスタジオを出て楽屋に向かう。そして楽屋のドアが開くと、矢口の足元しか映らない。長い廊下を歩く足元だけの「絵」。いつしかその廊下は、両国国技館の控室から花道への通路に見えてきた。

「ああ、アントニオ猪木VSブルーザー・ブロディの初対決の新国技館(両国)の時を思い出すなぁ」と記憶がタイムスリップしてしまうほど。というのはあのときブロディが控室からなかなか出てこなくて皆をヤキモキさせたのだ。

そんなことを考えていたら、矢口真里(足元だけで顔は依然見えず)がスタジオに近づいた瞬間、番組内で「移民の歌」が流れたのだ。レッド・ツェッペリンの曲でまさにブロディの入場テーマだったあの曲が!「ミヤネ屋」にはブロディの劇的な入場シーンを再現しようとしたスタッフがいるに違いない。そう確信した。社会のどこかにプロレスは隠れているのである。

遂に顔を出した矢口真里は「よろしくお願いします。みなさんご無沙汰しております。矢口真里と申します。この度は私事で大変お騒がせしてしまいまして申し訳ありませんでした」と第一声。

そのあと番組は粋な計らいをした。矢口真里といえばその「ワイプ芸」の絶品さをよく言われるが、あの騒動が起きてからの経緯をいきなりVTRで再現。スタジオの矢口本人をワイプで抜くという「復帰」を仕掛けたのだ。
「どういう顔でワイプにいればいいかと思いました」「顔が動かない」と本人はコメントしたが、あらためて記者会見をやるより得意なシチュエーションでよかったのではないか。

「対戦相手」の宮根誠司は、あのとき部屋で「鉢合わせしたのか、してないのか 。ざっくりでいいから聞かせて」とツッコむ場面もあったが、でも全体的には「矢口は“宮根”という激しい通過儀礼を浴びた」という印象付けをしてあげてるように感じた。なかなかやりずらい相手をここまで試合として成り立たせる、よいプロレスシーン。

しばらくして矢口関連からひと息ついて別のニュースが映像で紹介された。薬局に子グマが迷い込むという、ほのぼのニュースだ。感想を宮根に求められた矢口は「ちっちゃくても爪をもっているから危険だと思います 」とコメントした。一瞬、自分のことを言っているのかと思ってしまった。

勘繰りすぎるのはプロレス者の悪い癖です。


プチ鹿島
PROFILE
1970年5月23日生まれ。お笑い芸人。オフィス北野所属。時事ネタを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。ラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)、「荒川強啓のデイキャッチ」(TBSラジオ)、「キックス」(YBS山梨放送)ほか、TVや映画など多方面で活躍中。





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2014年8月7日発売 新書判304ページ





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ブログ:http://orenobaka.com/
ツイッター:@pkashima

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