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タモリさんがタイムスリップして「夜」に帰ってきた。

2014-11-01

プチ鹿島の連載コラム 「すべてのニュースはプロレスである」

「ヨルタモリ」という番組をご存じだろうか。フジテレビの秋の新番組で日曜日の23時15分から始まる。

拙著「教養としてのプロレス」でのまえがきで私は、

《2014年3月31日は32年間続いた「笑っていいとも!」が終焉を迎えた日だった。日本人にとって人生の空気のような番組の終わり。昼の最終回のあと20時から放送された「グランドフィナーレ」は、タモリさんが32年間の昼のお勤めを終えて再び「夜」に帰っていく儀式にも見えた。》

と書いた。

あれから半年。タモリさんが「夜」に帰ってきた。

この番組は、どうやら「いいとも以前」のタモリさんを知る「大人」も楽しめるのが狙いのよう。

でもそれだけなら間口はせまい。昔のタモリさんを知らない世代でも「伝説」を再体験できる感覚になれるのがいい。

たとえばタモリ演じるインチキ・フラメンコ歌手やラッパーを見れば、デビュー当時はこんな感じだったんだろなと思いながらも笑えるし、たとえばインチキ大阪弁のオヤジをちょっと意地悪な表情で演じるタモリさんを見ると「かつて名古屋弁をおちょくってたという片鱗」を垣間見ることができる。誰もが「なんとなく知っていたタモリ」をリアルタイムで体験できるのだ。

これは柳澤健が書いた「1964年のジャイアント馬場」と同じ楽しみ方である。週刊大衆で連載され、早くも11月に単行本として発売されるこの作品は「知っているようで知らなかった馬場のルーキー時代」を克明に描いた作品だ。60年代のアメリカ黄金マットで馬場はいかに売れていたか?「イチローよりも松井秀喜よりも早く数十年前にアメリカで活躍した馬場」はまるで「まだ見ぬ強豪・ジャイアント馬場」なのである。

「ヨルタモリ」もそれに近いものがある。まるで「いいとも」の32年間をタイムスリップして、あの頃のタモリを体験できる感覚がある。さしずめ「1982年のタモリ」だ。

あと、ホントに勝手に個人的な感覚を書くと、「ヨルタモリ」は私が10代の頃(80年代)に見た「土曜・日曜夜の大人の番組」の雰囲気を思い出すのだ。「今夜は最高!」、「Ryu's Bar 気ままにいい夜」、「たけしのここだけの話」・・・。放送局もテイストもゴチャゴチャだが、なんかあの頃のあの時間帯の雰囲気を思い出す。

ということは、「ヨルタモリ」は大人向けなのではなく、夜更かししてまったりと粘る子どもに合う番組なのかもしれない。どことなく洒落た雰囲気を背伸びして味わう子どものための。


プチ鹿島
PROFILE
1970年5月23日生まれ。お笑い芸人。オフィス北野所属。時事ネタを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。ラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)、「荒川強啓のデイキャッチ」(TBSラジオ)、「キックス」(YBS山梨放送)ほか、TVや映画など多方面で活躍中。





「教養としてのプロレス」(プチ鹿島/双葉社)
2014年8月7日発売 新書判304ページ





今もっとも注目すべき文系芸人・プチ鹿島氏による初の新書が双葉社より発売! 「どの週刊誌よりも売れていた」という90年代黄金期の週刊プロレスや、伝説の編集者・井上義啓氏の週刊ファイトなどの“活字プロレス”を存分に浴びた著者による、“プロレス脳”を開花させるための超実践的思想書。 「半信半疑力を鍛える」「グレーゾーンを許容する」「差別に自覚的になる」等々、著者が30年以上に及ぶプロレス観戦から学びとった人生を歩むための“教養”を、余すところなく披瀝。すべての自己啓発本やビジネス書は、本書を前に、マットに沈むこと必死!

ブログ:http://orenobaka.com/
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