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岩井志麻子【歌舞伎町の怪談】 2/4話

2014-12-09

恐怖とエロスの貴婦人 岩井志麻子の 路地裏ホラー

歌舞伎町に住んでいるセクシー系タレント冬美は、昔の彼氏が悪い薬をやっていて、そ れを溶かし込んだジュースをうっかり妹が飲んでしまったという話をしてくれた。

「妹は、大声あげて騒ぎ出しました。『お姉ちゃんは来月、××テレビのドラマの出演 が決まる。お父さんが秋に心臓の手術をする。明日、隣の部屋がボヤを出す』なんてわめきながらいきなり素っ裸になって、皆の前で自慰を始めたりして。自慰はさておき、口走ったことが後でみんな的中しちゃったんです。妹は、自分が口走ったことは覚えてました。自慰は忘れてたみたいだけど。ううん、忘れたふりかな。それでもひどく、怯えたんです。もうあんな身も心も変になるのイヤッ、て。 『あのジュースの瓶にはお酒が混ぜてあった。あんたはお酒で変になって口走ったことが、たまたま当たっただけ。お酒を飲まなきゃ、もうあんなことは起こらない』といってやりました。実は彼氏が悪い薬物を、なんて本当のことはいえませんよ」

オカルト的世界も薬物も酒も苦手だった真面目な妹さんは、とりあえず絶対に酒は飲まないと誓ったそうだ。
本当は絶対に薬物はやらない、というのが正しいが、それは誓わなくても守るだろう。妹さんはその後すぐ、故郷に帰った。

ちなみに冬美の彼氏だった男はやりすぎて入院することになり、そのまま追い出したそ うだ。退院後の消息は何もわからない。
当たり前だがやはり、違法薬物はいけない。霊感が生まれるなんて副作用は、すべての人に当てはまるのではないし。

そんな冬美は、彼を追い出した後も自宅で何度か怖い目に遭ったことがあるという。あなたのファンがストーカー化でもしたのかと聞いたら、首を横に振られた。
「ううん。人殺しに、部屋を間違えられて入られそうになったの」


岩井志麻子(いわい しまこ) プロフィール
1964年12月5日生まれ
A型
高校在学中の1982年、第3回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少女小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が選考委員の絶賛を受けて、日本ホラー小説大賞 を受賞。 半生を赤裸々に語るトークや「エロくて変なオバチャン」を自称する強烈なキャラクターが注目を集める。

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