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第34回 中国で金利自由化始まる!日本に与える影響は?

2014-12-08

経済ジャーナリスト 須田慎一郎が徹底予想!

中国政府がいよいよ銀行預金の金利自由化へ向けて動き始めた。現状では、金利の上限規制が設定されているため、中国国内の銀行の預金金利は一年物定期預金で年利3%程度に抑えられているが、金利の自由化が実現したならば、各銀行は高金利をエサに預金獲得競争に動き出すことになる。

ただ、これが原因で中国の銀行が大挙して日本に進出する可能性はないだろうが、とはいえ、年利3%という現在の水準ですら、長く低金利状態に置かれているわれわれ日本人にとってみれば、非常に魅力的だ。果たして、日本国内に在住する日本人が、中国の国内銀行に預金を預けることは可能なのか。

原則的には可能だ。中国のどの国内銀行であれ、外国人旅行者はパスポートさえ提示したならば、預金口座(人民元口座)を開設することはまったく問題なくできる。
ただし問題なのは、人民元と外貨の自由な交換が認められていない点だ。

日本円を人民元に交換することは比較的容易なのだが、その逆、人民元を日本円に両替することが非常に難しい、というのが現状だ。
正確にいうと、日本円を人民元に両替えして6カ月以内であるならば、再両替(人民元を日本円に両替)することは、それほど難しくはない。しかし6ヵ月を超えると、その再両替はほぼ不可能になる。
つまり、中国の銀行に定期預金でお金を預けてしまったら、利息はゲットできたとしても、日本円に両替することがほぼできなくなってしまうのだ。

中国国内でそのお金を使い切るというのであれば問題ないが、日本円に両替することがほぼ不可能という点を考えると、一般的な意味での資産運用には、まったく不向きであることは間違いない。

そして、金利自由化に向けた措置の一環で、先月30日、中国政府は、中国の金融機関が経営破綻した際に、預金を一定額まで払い戻すことを保証する制度、預金保険制度の導入を決めた。この中国の預金保険制度は、来年初めにもスタートする方向だ。

ここで改めて指摘するまでもないと思うが、日本では、こうした預金保険制度はすでに導入済みで、一金融機関につき一人(一個人、一法人)1000万円まで保証されている。日本において、この制度が適用されたケースは、過去1回だけある。乱脈経営の結果、経営破綻に追い込まれた日本振興銀行に対して初めての適用となった。

この制度を導入する方針を固めた中国政府の狙いはどこにあるのだろうか。
結論からいえば、「シャドーバンキング(影の銀行)」を潰すための最初の一手といっていい。

中国における「シャドーバンキング」とは、規制の枠組みの外にある融資システム。高利回りの金融商品である「理財商品」を販売して資金を集め、さまざまな理由で銀行から資金を借りることができない企業や地方政府に資金を融資するシステムだ。

銀行から資金を借りられないということは、借り手のリスクが高いケースが多く、返済が滞ることもたびたびだ。そうなると前述の「理財商品」が払い戻しがストップするため、取り付け騒ぎ(信用不安などから、預金者が預金を取り戻そうと金融機関に殺到すること)に発展する可能性が高い。
現在、中国における「理財商品」の発売残高は、約600兆円前後にのぼると見られ、いったん投資家の不安心理に火がついたならば、投資家が大パニックに陥ることは必至だ。

中国政府は、そうした状況が発生することを恐れ、政府のコントロールが及びにくい「理財商品」から銀行預金へ資金をシフトさせようとしているのだ。
そのためには、まず資金の受け皿となる銀行及び銀行預金の信用力を高める必要があったということだろう。

いずれにしても、中国の金融システムが極めて不安定な状況にあることは間違いなく、われわれ日本人は、絶対に近付くべきではないだろう。中国絡みの投資商品は、要警戒だ。

須田慎一郎(すだ しんいちろう) プロフィール
1961年、東京生まれ
経済ジャーナリスト。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリストに。「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続ける傍ら、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」、テレビ大阪「たかじん NO マネー」、ニッポン放送「あさラジ」他、テレビ、ラジオの報道番組等で活躍中。 また、平成19年から24年まで、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。

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