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第36回 ロシア通貨・ルーブルの下落と原油安による日本への影響は!?

2014-12-22

経済ジャーナリスト 須田慎一郎が徹底予想!

ルーブルの下落がとどまるところを知らない状況が続いている。
ロシア通貨のルーブルの市場価格は、先週16日に一時1ドル=79ルーブルを付け、史上最安値を更新した。年初から比べると約6割も、その価値を下げたことになる。

その意味するところは、ロシアがドル建てで輸入した製品の価格は、今年初めと現時点で比べてみると、単純計算で2.5倍に値上がりしていることになる。その結果、ロシアの外貨準備高(ロシア国内の外貨の蓄え)は、どんどんロシアの国外に流出していく。もし仮に外貨準備高がゼロになったら、どのような事態が発生するのだろうか。

そうなると、ロシアがデフォルト状態(借金返済不能状態)に陥り、そのことを受けて世界経済が大混乱に陥るのは必至だ。

ロシアと日本の経済的な結びつきは、ロシアとヨーロッパほどには強くないため、日本経済への影響は直接的には、さほど大きくはならないと思われるが、間接的な影響は相当程度出てくるであろう。それというのも、エネルギー輸出大国であるロシアの経済は、ロシア産エネルギーの依存度が高いヨーロッパ経済など、各国経済と密接にリンクしているからである。

ロシア経済の混乱によって、もし仮にヨーロッパ各国に対してロシア産の天然ガスがスムーズに供給されなくなったならば、ヨーロッパ経済も大混乱に陥ることになるだろう。

石油や天然ガスの生産施設を維持するためには、莫大な資金が必要とされる。またそれを各国に供給するためのパイプラインを維持していくためにも、相当なコストがかかる。しかし、ひとたびデフォルト状態に陥ってしまったならば、そうした資金を確保することすら困難になってくるのだ。

そうだとするとロシア危機は、確実に日本経済へも大きくマイナスの影響を及ぼし、景気後退リスクが出てくることになる。決して他人事ではない。
ルーブル安の行方には、要注目だ。

一方で、もうひとつ気になるのは、ルーブル安と連動して起こっている原油安だ。
本題に入る前に、こうした経済ニュースの見方について、ワンポイントレッスンをしておきたい。

今回のワンポイントレッスンは、「良いニュースか、それとも悪いニュースかを見極めよ」だ。そのニュースが、皆さんにとって良いニュースなのかそれとも悪いニュースなのかをまず考えていただきたいのだ。

では、原油安は、どうだろうか。
日本国内に住む人たちにとって原油安は、基本的には良いニュースと見ていいだろう。
それというのも原油安は、直接的にはガソリン価格の下落や電力料金の値下げに繋がる。ここまでは誰しもが思いつくことだろう。また天然ガスの価格は、原油価格に完全に連動しているから、ガス関連製品の価格も下がることになる。言ってみれば、こうしたものはすべて直接的な影響だ。

実は、これ以外に間接的な影響というのもある。例えば、ハウス栽培の野菜や果物も、原油の価格が下落することによって、その価格は下がっていくことになる。なぜなら、ハウス内の温度を適温に保つために、重油が燃やされているためだ。言うまでもなく重油価格は、原油価格に連動している。従って原油安は、野菜や果物の生産コストを引き下げる方向に働くのだ。

これでおわかりのように、原油価格の下落は、あらゆる物品の値段を押し下げることにつながる。だからこそ原油安は、良いニュースなのだ。

とは言え、そうした原油安のメリットは、まだ充分にわれわれ消費者に届いているとは思えない。
その理由としては、ここへ来ての急激な原油安であるため、その効果が出てくるまで、もう少し時間が必要ということに他ならない。

いずれにしても、原油価格は、ここ半年間でほぼ半値になっている。この原油安トレンドがいつまで続くのか、なかなか見通せないが、まだしばらくの間この状態は続くだろう。
年明けぐらいから、少しづつ原油安メリットが皆さんのもとにも及ぶことになるだろう。


須田慎一郎(すだ しんいちろう) プロフィール
1961年、東京生まれ
経済ジャーナリスト。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリストに。「夕刊フジ」「週刊ポスト」「週刊新潮」などで執筆活動を続ける傍ら、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」、テレビ大阪「たかじん NO マネー」、ニッポン放送「あさラジ」他、テレビ、ラジオの報道番組等で活躍中。 また、平成19年から24年まで、内閣府、多重債務者対策本部有識者会議委員を務める。政界、官界、財界での豊富な人脈を基に、数々のスクープを連発している。

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