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高倉健VS菅原文太「これぞ傑作!」10番勝負

[週刊大衆1月5日,12日合併特大号]

2人の名優が遺していった綺羅星のごとく輝く名作の数々。本誌がオススメする20作品を一挙大公開――!

高倉健(享年83)と菅原文太(同81)――2014おとこ年、昭和を代表する"漢(おとこ)"たちが相次いで他界し、日本中に衝撃が走った。
だが、2大スターは映画の中で永久に生きている。年末年始、お茶の間で映画を見て過ごすなら、二人の雄姿で偲(しの)んでみるのも一興だろう。
そこで本誌は二人の出演作の中から、読者の皆さんにぜひ観ていただきたい映画を厳選。本誌がお贈りする"誌上名画座"をご覧あれ。

まず、本誌イチ押しの健さん主演作は、『昭和残侠伝』。65年から72年にかけて9作が製作されたシリーズだ。
なかでも2作目である『唐獅子牡丹』は、"昭和"が凝縮された作品と評価が高い。
「健さん映画といえば本作」と言って憚(はばか)らないのが、社会評論家の小沢遼子氏。
「公開当時は、学生運動が盛んだった時代でした。近所の学生さんに、"朝までオールナイトで学生たちが熱狂している映画がある"と言われて、一緒に観に行ったんです。そしたら、本当に噂どおりでした。たった一人で大勢に立ち向かう健さんに、"イケー、負けるなッ!"って、彼らが声をかけているんです。あの熱気だけは今でも忘れられません」
また、『昭和残侠伝』とともに、健さんを東映の大スターに押し上げたのが『網走番外地』だ。65年から67年までの間に、10作が上映された。健さんの代名詞ともいえるシリーズで、第1作はまだ、モノクロ映画の時代だった。

健さんが演じるのは、渡世の義理で人を殺(あや)めた橘真一という受刑者。森林伐採の労役のために乗せられたトラックから、別の受刑者とともに脱走する。北海道の大雪原の中、命を懸けて脱獄する男たちを描いたアクション活劇だ。
この2大シリーズが健さんの出世作とするなら、文太さんの出世作はむろん、『仁義なき戦い』シリーズだろう。73年から74年まで計5本が上映された。
戦後直後の広島で起きたヤクザの抗争を基にした実録映画で、文太さんは実在のヤクザをモデルにした広能昌三を演じた。

闇市の混沌の中、山守組の組長に度胸を買われた広能は、ヤクザの世界に身を投じ、まだ小勢力だった山守組は抗争に明け暮れる。
「広島もんのケンカいうたら、殺(と)るか殺(と)られるかの二つしかありゃあせんので」と、乱闘、暗殺に報復、そして、裏切り……。
「深作欣二監督は緊迫感を出すため、ある逃走シーンでは、踏み切りの遮断機が下りる瞬間を狙ってカメラを回させたという伝説があります」(映画ライター)
むろん、シリーズ全作品が甲乙つけ難い名作ぞろい。

放送評論家の小松克彦氏は、映画を見た当時を振り返りながら絶賛する。
「渋谷の東映で観たんですが、映画のあと、本当に観客全員が肩で風切って映画館を出てくるんです。1作目は年始に公開されたんですが、寒さで肩すぼめながらも、みんな、文太さんになりきっていた。主役になりきってしまう映画の楽しみ方が、ここにはちゃんと存在していましたね」

この『仁義なき戦い』に次いで推したいのは、『人斬り与太』。72年に公開された本作は、『仁義なき戦い』のベースになったと言われる作品だ。
「深作監督と文太さんコンビの出世作と言われる作品です。映画そのものはチンピラたちの抗争を描いたもので、ドスで斬り合うだけ。作品としては未熟感がありましたが、とにかく理屈抜きに面白かった」(小松氏)

この映画の成功なくして、翌年に公開される『仁義なき戦い』はなかったと言われるだけに、文太さんにとってターニングポイントとなった作品と言えよう。
健さんと文太さんはともに任侠・ヤクザ映画でスターになった俳優だが、役者として年輪を重ねるにつれて、二人は若い頃とは違う路線で新境地を切り開く。
健さんにとって、その転換点となったのが77年公開の『八甲田山』だ。1902年、青森の陸軍連隊が雪中行軍の演習中に遭難し、199名が死亡した事件を題材にした映画だ。
「任侠映画の健さんから、大作映画の健さんへ移行した作品と言えます。健さんの新たな魅力を引き出したのが、この『八甲田山』と『動乱』を撮った森谷司郎監督なんですよ」(小松氏)

この映画の撮影は過酷を極め、撮影現場からの"脱走兵"が続出。脱走兵のための見張り番が置かれたという逸話もある。
健さん自身、「あのときは芝居なんて考えられなかった。雪の中で立っているだけで、やっとの演技。まるでドキュメンタリーを撮っていたようなもの」と、インタビューで話している。
「部隊の責任者である徳島大尉を演じる寡黙な健さんに共感できました。この映画の成功で、雪景色が似合う男と言われ、その後、冬の北海道で多くの健さん映画が作られるようになりました」(小松氏)
その北海道の函館で、健さんが寡黙な居酒屋の主人を演じた作品が『居酒屋兆治』(83年)。居酒屋に来た客に「なにしろ、ぶきっちょなもんですから」と語る健さん。不器用だが、その圧倒的な存在感は、『幸福の黄色いハンカチ』や『鉄道員(ぽっぽや)』、そして遺作となった『あなたへ』の主人公とも共通している。

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