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もはや“不治の病”ではない ここまで進んだ「がん治療」最前線リポート vol.3

[週刊大衆09月02日号]

これらが3本柱治療の最前線なのだが、現在、第4の治療法が注目されている。それが『がんワクチン(樹状細胞ワクチン)』による治療だ。
「わかりやすくいえば、その人のがん細胞が、どんなタイプなのかを調べ、そのがん細胞を攻撃する抗原を免疫細胞に与える--つまり、自分の免疫細胞に、これが攻撃すべきがんだと教え、ピンポイントでがんをやっつけるという方法なんです」(阿部博士)

人間はもともと、がん化した細胞を駆逐する免疫力を持っている。
「ところが、がん細胞は“変装術”に長け、免疫細胞の攻撃を受けないようにするんです。これをきちんと認識させると、自分の免疫力で、がんを消滅させることができるんです」(前同)

治療法は、遺伝子解析などで、がん細胞の顔つき(がん抗原)を特定する。そして血液を25㏄採血して培養した患者の免疫細胞(樹状細胞)に、がんの顔つきを覚えさせて、再びリンパ節近くに皮内注射で戻す。すると、その情報を受けてキラーT細胞が活性化し、目標のがんを攻撃開始する。
これを数回繰り返すのだが、このワクチン療法には、これまでのがん治療法にない様々な長所がある。
まず、外から入れる抗ガン剤と違って、自分自身の免疫細胞だから、副作用がほとんどない。
しかも治療法は25㏄採血して、その後、ワクチン化した樹状細胞を注射するだけ。痛みや苦痛がないばかりか、入院の必要もない。

ちなみに、同クリニックの患者は、ほとんどが末期のがん患者だが、その臨床実例は医療関係者の予想を超えている。
たとえば、22人の肺ガン患者のうち、2人が完治、3人は患部が縮小し、10人で進行が止まっている。有効率は68%だから、期待の持てる治療法といえる。
また、最も治りにくいがんといわれる膵臓がんでも驚くべき結果が出ている。
42人の膵臓がん患者のうち、治癒したのが3人、4人はがん患部の縮小が認められ、11人は進行が止まった。つまり、43%の有効率ということになる。

ワクチン療法は、あらゆるがんに適用でき、他の治療法との併用も可能だが、唯一の欠点は保険が適用されないため、経済的負担が大きいことだ(『アベ・腫瘍内科・クリニックの場合、1回のワクチン注射が30~40万円で、基本的に、これを6回行う)。
「医療現場では、乳がんになり、切除手術をして抗ガン剤を投与されたことで、卵巣機能がなくなり、妊娠できなくなったケースや、80歳の高齢者に抗ガン剤を使い、免疫力が落ちて肺炎などで死に至ったと見られるケースもあります。
医療はあくまでも“人生を支えるがん治療”であるべきで、患者さんが様々なアプローチで、がんに対応できるようにすることが大切だと思います」(同)

がんはもはや“不治の病”ではない。恐れることなく、対応することが大切だ。

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