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【パンチ佐藤】評論家からは聞けない「キャンプの裏話」

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パンチ佐藤の「野球が一番!」
第6回 評論家からは聞けない「キャンプの裏話」


2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任したパンチ佐藤。かつての日本代表~オリックスのドラ1も、今では芸能人としての色が濃い。
そんなパンチが野球界に“復帰”して改めて思ったことは「野球が一番」ということだ。プロ野球が地域の意識を変えるカンフル剤になっている現実を、パンチ流に解説する!

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2月に入ると、NPBはキャンプに突入。3月末の開幕に向けて選手は本格始動します。そこで今回は、自主トレ→キャンプの裏話を展開しようと思います。これは評論家からは絶対、聞くことができない話なので、ぜひ酒の肴にしてください。

今から30年前までは1月の自主トレは存在しませんでした。おそらく、第一次長嶋政権時に初めて巨人がスタートさせたのではないでしょうか。

前年の10、11月にシーズン終了。当時は、秋季キャンプなどありませんから、そのままオフに入ります。だいたいの選手は暴飲暴食で運動といえばゴルフ……こういった生活を3~4カ月するんですから、体重オーバーは当たり前。キャンプ開始時にはベストから5~10kgは重かったわけです。これを改善、「キャンプまでには痩せなきゃ、いけねえな」と一念発起して動き出したのが自主トレの起源です。

最近は、お金を持っている選手やその“弟子”的な選手は海外で自主トレしますね。ただ、僕は国内。それも地元の多摩川を使い、走り込みを中心にしたトレーニングをしていました。

僕の場合はキャラクターからか、シーズンオフに数多く番組に出演していたため、2月1日初日には身体を作っておかないといけない。首脳陣から「なんだよ、パンチは。テレビの出過ぎで、ぜんぜん身体が動かないじゃないか」など揶揄されたら堪りません。

だから、シーズンが終わっても身体を100%から50%までにしか落としませんでした。そして1月の多摩川から徐々に上げていき、2月1日には「このまま開幕しても大丈夫」という状態にしていました。

選手には2月1日に「今年は燃えていますよ! 動きが違うでしょ!」と首脳陣にアピールしなければいけない選手、キャンプ中盤の紅白戦辺りから調子を上げていけばいい選手、オープン戦の残り3試合で帳尻を合わせればいい選手の3パターンがあります。

今では笑い話ですが、自主トレ黎明期、首脳陣(主にコーチ)はこんなことを言っていました。
「何で海外に行くんだ。ステーキは強火で焼いたらダメだ。炭火でじっくり焼かないといけない。ミディアムレアが一番だろう。暑いハワイへ行ってガンガン練習するよりも、寒い日本で走り込んでじっくり身体を作った方が良い。ステーキの焼き方と同じで身体の作り方も“じっくり”が大事なんだ」

全く持って何の根拠もありません。自身がそうやってキャンプインしたので違う形をする選手を受け入れられない。「知らない」というのは本当に恐ろしい。

身体を動かすには、やはり温暖な地でないといけません。冬場は(寒さで)身体が緊張し、(身体が)固まりやすい。猫背の状態でボールを投げ続けても良い結果は生まれません。硬直した中で過度な運動はケガにも繋がる。キャンプまでにコンディションを70%~100%へ持っていくには、海外での自主トレが効果的です。

最近は、自主トレのスタイルが二分。海外組と国内・沖縄組に分かれますね。なかでも沖縄組は、1月に自主トレをして、現地に滞在。2月のキャンプにそのまま合流という形が主流になりつつあります。

かつてはキャンプイン直前に球団行事があり、選手はそれに全員参加。一度、所属チームに戻っていました。最近はそれが強制でなくなったことから、沖縄組は本土に戻ることなく、キャンプに合流できる仕組みになったんです。

現役時代、僕はテレビ出演が多く、コーチから影で嫌味を言われているのを知っていました。そのため、2月1日には100%の状態に仕上げており、「パンチはオフ、テレビに出ていたけど、しっかり身体を鍛えていたんだ」と“形”で証明してきました。

しかし、今考えると「愚策」。そんなことはする必要などありませんでしたね。20代半ばでプロ入りしたことを鑑みれば、高卒ルーキーやハタチそこそこの選手のような調整は意味がなかったです。理想は紅白戦、オープン戦が始まった頃にピークを作る。キャンプインはのんびり構えて良かったでしょう。

というのも、スタートダッシュは確かに素晴らしい。監督、コーチも「パンチ、いいねえ」と手放しで高評価です。ところが、キャンプも中盤に差しかかると、ベテランを除く大部分の選手がエンジンをかけ始めます。時期を同じくして、僕は身も心も疲労困憊。状態が下降し始める。監督、首脳陣の評価もここ辺りから一変。「なんだ、パンチは使えない」となり、ファーム行きとなるんです。

変なアピールに気を取られた結果でした。どうせ2軍での調整を余儀なくされるのであれば、キャンプは2軍スタート。のんびり、じっくり調整し、中盤に1軍に上がるというプランを作っておけば良かったと今では思います。プロとして心構えがどっしりしていなかった証拠でしょう。

僕の体験から、高校生、大学生からプロ入りした新人選手にはアドバイスを送りたい。「慌てるな」と。新人は「今日、何をやったか分からない」という状況だと思います。そんな状態で3日過ぎ、10日過ぎ…気がついたらオープン戦となる。いいことではありませんね。

「地に足を着けて練習しろ」これが僕の訴えです。初めてのキャンプは何かと過酷。疲労とともに肘や腰を痛めやすい。初期段階で首脳陣にそれを伝えればいいのに、だいたいの学校上がり選手は「痛い」と言えない。高校、大学時代は部活を休むと怒られる。その意識が脳を支配していて、プロになっても「休みたい」とは口に出せないんです。

ここは「プロになった」という自覚を持って、首脳陣に自分の状態を伝える。痛い時に練習をしてもいいことは一つもありませんからね。また、心が折れそうになった時は両親やかつての仲間に電話すること。これは、いい気分転換になる。リフレッシュになります。

野球が一番!

パンチ佐藤(ぱんち・さとう)プロフィール

1964年12月3日生まれ
亜細亜大学から熊谷組を経て、オリックスにドラフト1位で入団。プロ野球時代、トレードマークのパンチパーマと独特な発言で人気者に。引退後はタレントとしても活躍し、2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任した。

【パンチ佐藤】評論家からは聞けない「キャンプの裏話」

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