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もはや“不治の病”ではない ここまで進んだ「がん治療」最前線リポート vol.1

[週刊大衆09月02日号]

日本人の2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで死ぬ時代。はたして、がんの治療法はどこまで進化しているのか。その治療法の最前線をリポートした。

「かつては、がん細胞を根絶することを優先して、患者のQOL(生活の質)は二の次になっていました。しかし最近は、なるべく治療による体の負担を小さくする方向に進んでいます」
こう話すのは、がん治療の最新情報に詳しいアベ・腫瘍内科・クリニックの阿部博幸理事長(医学博士)。
現在、保険が適用される一般的ながん治療は、外科療法(切除手術)、放射線治療、化学療法(抗ガン剤)の3本柱で行われている。まずは、この最新治療法を順に見ていこう。

まずは切除手術。最近では内視鏡機器の進化が著しく、初期の胃がんや大腸がんなどは、口や肛門から内視鏡を入れて、がん部位を切除する内視鏡手術が主流になっている。
「大腸内視鏡は痛みを訴える患者も少なくなかったため、麻酔薬を使う医療機関も増えています。患部の切除はレーザーメスで行われ、半年から1年に1回の内視鏡検査で、大腸がんはほぼ予防できるといわれています」(医療ジャーナリスト・牧潤二氏)

また、内視鏡治療では切除できない場合に控えているのが、胸腔鏡手術や腹腔鏡手術。これは、胸部や腹部に4~5カ所、5~10ミリ程度の穴を開け、そこから内視鏡を挿入する。
福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長は胃がん治療で、歌手の桑田佳祐は食道がん治療で、腹腔鏡手術を受けた。医療ジャーナリストの松井宏夫氏は、こう話す。
「術後の回復が早い、術後の痛みが少ないのがメリットです。さらに、単孔式腹腔鏡手術というのもあり、これはおへそに1カ所だけ穴を開けるものです。傷口が全然、目立たないんです」
麻酔を使わず、痛みがない水浸法(内視鏡の先端部から潤滑油代わりに水を流しながら挿入する方法)などの技術も徐々に浸透し、患者の肉体的負担は、さらに軽くなっている。

胸腔鏡や腹腔鏡による手術も進歩し、最近は、アメリカで開発され、日本へも導入されているロボット(ダヴィンチ)による切除手術法も話題。怪談家の稲川淳二も前立腺がん治療でロボット手術を受けている。
「ロボットといっても、機械が勝手に手術をするわけではなく、医師が鉗子(かんし)やメスなどを取り付けたロボットアームを操作して行います」(前出・牧氏)
ポイントは、7つの関節で人間以上に器用なアーム。アメリカでは、前立腺全摘除術の85%がロボット手術で行われている。前立腺がんの全摘手術では、術中の出血や術後の勃起障害、尿失禁などが多かったのだが、ロボットによる手術で、これが少なくなってきた。
「前立腺全摘除術のロボット手術が、12年4月から健康保険の適用となったことも非常に大きいです」(前出・松井氏)

腎臓がんの手術では、新たなロボット支援手術が行われている。「ロボサージャン」と呼ばれるものだ。
これを推進している東京医科歯科大学医学部附属病院腎泌尿器科の木原和徳教授は、こう説明する。
「腰部の小切開から内視鏡と手術器具を入れて行います。このとき手術参加者全員が、モニターとしてメガネのように装着するゴーグルタイプの3Dディスプレイを使うんです。執刀医は立体拡大視と直視を状況に合わせて使い分けることができ、患者の状況の把握が確実になり安全で効率的な手術の進行に役立ちます」
手術費用だけなら15万円程度。体への負担が小さく、経済的にも優しい。

8月27日公開のvol.2に続く・・・

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