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おなじみの胃薬で意識障害が起こる

「病院の処方薬はこんなに危ない!」と警鐘を鳴らすのは近藤誠がん研究所 所長の近藤誠氏だ。その他の専門家の意見を加えつつ、現代の医療のありかたに疑問を投げかける書籍『ダマされないための完全お薬ガイド2015』から、一部を抜粋してお届けする。

胃痛、胸やけ、胃もたれ、むかつきなどを改善するとしておなじみの胃薬が、「せん妄」と呼ばれる意識障害を起こすことがあると知ったら、驚く人が多いのではないでしょうか。

せん妄の特徴には、意識がぼんやりする、見当識障害、錯乱や幻覚、妄想、興奮などがあります。認知症や精神疾患によく似た症状ですが、せん妄は認知症と違って一過性のもので、数時間から数日で症状がなおまります。

多くの統計で1~2割は必ずあるといわれるのが、薬の副作用としての「せん妄」です。特に高齢者ではその比率が高く、認知症や精神疾患に誤診されるケースもあります。その原因となる薬には、パーキンソン病の薬などのほか、実は胃薬として有名な「H2ブロッカー」も該当します。

そもそもH2ブロッカーは「ヒスタミンH2受容体拮抗薬」といい、「H」は「ヒスタミン」の頭文字を表しています。ヒスタミンとは、アミノ酸が分解されてできる物質で、体のなかで様々に働いています。そのひとつが胃酸の分泌を促す作用で、胃壁細胞の表面にある「ヒスタミンH2」と呼ばれる受容体にヒスタミンが入り、胃酸が分泌されています。H2ブロッカーはヒスタミンが入らないようにブロックすることで胃酸の分泌を抑え、胃薬としての効果を発揮しています。

H2ブロッカーの登場によって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療が一変し、それまでは手術が必要だった人も手術をしないですむようになりました。意外なところでは、ICU入院患者や、敗血症などの内科的な重症患者にも、予防的によく使われています。ある病気で重症になると、患者は強いストレスで潰瘍ができやすいとされ、その抑制のためにH2ブロッカーが使われているのです。

胃で効くはずのH2ブロッカーがなぜ脳に影響を与えるのか、実はまだよくわかっていません。ヒスタミンは、脳の視床下部というところにもあり、睡眠と覚醒をコントロールしています。通常、H2ブロッカーは脳へはほとんど移行することがないのですが、高齢者や、腎障害のある人、ほかに薬を使っている人、がんで高カルシウム血症になった人などは、体内にH2ブロッカーが蓄積され、せん妄状態を起こしやすいと考えられています。
H2ブロッカーによるせん妄は、投与開始から2時間~3日後に起こり、中止後2~3日で元に戻ります。
H2ブロッカーにはいくつかの種類があります。シメチジン(一般名「タガメット」)、ファモチジン(一般名「ガスター」)、塩酸ラニチジン(一般名「ザンタック」)、塩酸ロキサチジンアセタート(一般名「アルタット」)、ニザチジン(一般名「アシノン」)など、市販の胃薬としても広く使われています。市販薬の場合、含有量は少ないですが、高齢者などの使用には注意が必要です。


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