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不断の努力を重ねた『人間力』山中慎介(WBC世界チャンピオン)

[週刊大衆03月16日号]

不断の努力を重ねた『人間力』山中慎介(WBC世界チャンピオン)

「打たれないボクシングでお客さんを魅了するしかない。これは自分に限らず、ボクサーにとって、一番の理想形ですよね」

大学で、ボクシングは最後にしようと思っていました。
ただ、高校、大学とボクシングを続けてきたんですが、その集大成というべき試合と位置づけて挑んだ国体で、あっさり初戦敗退してしまったんです。その時、カーッと体が熱くなったのを覚えています。その瞬間に、プロ入りを決意したんです。"こんなんじゃあ終われへん"って。一気にこう、ボクシングに対する情熱が戻ってきて、それはもう、制御不能な感情の爆発みたいなものでした。

高校に入学した時、夢は世界チャンピオンだったんです。卒業文集に、「WBC世界チャンピオンになる」と書くほど本気だったんです。ただ、ボクシングを始めて、高校3年の時には、とやま国体で優勝したんですよ。その時に、これが限界だなと、なぜか自分で思ったんです。
そこで、ボクシングへの情熱が一気に燃え尽きたというか、そんな気分になっていたんです。

高校卒業間際、専修大学からボクサーとして推薦を頂いたんですが、まあ、申し訳ないですけど、受験しなくてもいいし、一応行っとくか(笑)、くらいの気分でしたね。
大学では、主将も務め、それなりに頑張っていたんですが、ボクシングに対する情熱っていうのは正直、薄れていましたね。まあ、大学4年間で、高校の頃に抱いた、ボクシングに対する熱い思いは、二度と湧いて来ることはありませんでしたね。

ボクシングを始めたのは、強い男への憧れから。中学では、野球をしていましたが、グループでやるスポーツは、一人が良くても結果がついてくるわけじゃない。
体格もさほど大きくなかったし、ひとりの力で結論が出せるのはボクシングだと思っていました。で、お年玉ででっかいサンドバッグを買い、友だちと叩いて遊んでいました。

大学の国体後、情熱は湧いて来ましたが、日本チャンピオンになるまで貧乏生活でしたね。遊びは大学4年間で十分すぎるほどしてたので(笑)、ひたすら目標に向かい突き進むことができました。
目標は世界チャンピオン。こいつ、アホやなと思っていた人も絶対にいたでしょうね(笑)。そのくらい、デビューしたばかりの頃は、全然注目されていなかったし、期待もされていませんでした。まあ、ぼく自身は、不断の努力を重ねただけでした。

この頃は、いつもイライラしていましたね。思うような試合もできないし、練習時間も足りないし、金もないしの3重苦(笑)。でも、9戦目からは、目指したスタイルで勝てるようになってきたんです。

ぼくは、打たれ強くないので、相手のパンチに対しては、それなりに工夫しています。それはガードだったり、ガードが間に合わなければ、ちょっと体を振ることでパンチをかわすことができる。見た目は悪いかもしれないけど、打たれない。打たれ弱いっていう認識がないと、そういうことはできないんです。
がっつりパンチもらって、がっつり殴ってっていうスタイルは、お客さんにとっては最高に面白い試合だと思うんです。ぼくはそれができないので、やっぱり違った魅力を出すには、打たれないボクシングでお客さんを魅了するしかない。これは自分に限らず、ボクサーにとって、一番の理想形ですよね。

世界チャンピオンになった時は、全然実感がありませんでしたね。でも、周囲からの期待も大きくなるし、追われる立場になりましたね。
いま、7回連続で防衛に成功していますが、連勝記録にこだわりは、ないんです。次の一戦を全力で勝ちにいくことが重要なんだと思っています。年齢的に、10年もできるようなスポーツじゃないんです。
だから、試合の数ではなく、試合の質を追求していきたいですね。

撮影/弦巻 勝


山中慎介 やまなか・しんすけ

1982年10月11日、滋賀県生まれ。高校からボクシングを始め、国体優勝やインターハイ2位の実績を引っさげ、99年に専修大学に入学し、03年卒業。帝拳ボクシングジムの入所後、06年、プロデビュー。以後、24戦22勝無敗2分けという驚異的な無敗記録を持つ。11年にWBC世界バンタム級チャンピオンになって以降、7連続防衛中。打たれない華麗なボクサーとして人気を博す。だが、「終わった後は体中が痛いですね。特に、判定まで、12ラウンドまでいったら、筋肉痛はすごいですね。でも、体のダメージはないです」と語る。ますます、期待を抱かせる世界チャンピオンだ。

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