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ひとりで叫ぶ『人間力』友川カズキ(詩人・歌手・画家・競輪愛好家・宴会師etc.)

[週刊大衆03月23日号]

ひとりで叫ぶ『人間力』友川カズキ(詩人・歌手・画家・競輪愛好家・宴会師etc.)

「幼稚園児が、いつまでも飽きもせずに長いこと砂場で遊んでいるじゃないですか。私にとって創作っていうのは、あの感覚なんですよ」

私はね、「ときどき歌手」なの。CDアルバムなんかを何枚か出させてもらっていますが、歌だけで食えたためしがないんだな。なので、いろんな仕事を経験しましたよ。

練馬の飯場を皮切りに、新聞配達、旋盤工、クラブのドアボーイ、魚問屋、地下鉄工事の作業員、飯場の飯炊き、川崎で立ちんぼなどなど。だから、人から歌手って言われると、とても違和感があるんです。自分でも何が本業なのか、わかりませんからね(笑)。
まあ、人と比べれば、デタラメなんだろうなあ。裏街道を歩いているんだろうなあって実感していますけど、自分では結構、王道歩いているつもりなんです。嫌なこと、嫌いなことはしなかったっていうだけで。いつだか、こんな私のドキュメント映画を撮りたいっていう酔狂なフランス人の映画監督が連絡してきたんです。ヴィンセント・ムーンっていう人でした。

面倒くさいと思ったんですが、彼の映像を見たら、すごい才能だと思ってOKしたんです。できたのを観たら、浪花節になっちゃって。幼少期に、長男と私が別々に暮らしていたんですが、そこをクローズアップされてしまって、兄弟が一緒に暮らしていないとか、そんなのどうでもいいじゃん。

だから、プロデューサーに直してとお願いしたんです。彼もそこは表現者だったんでしょうね。全然折れてくれなかった。そしたら、公開が1年も遅れたし、私がダダこねてもなあと思い折れたんです。
だから、「皆さん、映画のチケットは買ってください。映画は観ないでください」ってお願いしました(笑)。

映画の時は、撮影するのにお金、いっぱいかかっただろうと思い、折れましたが、怒るときもあるんです。例えばたばこ。東北新幹線なんて喫煙するところないんですよ。あれは喫煙者に失礼だ。昔の国鉄の赤字は、たばこ税で埋めたんですよ。だったら、喫煙者だけ無料でグリーン車に乗せるのが筋でしょう。そんなに体に悪いなら、売るなってことですよ。

ほかにも、政治家ね。あれは人を騙すのが仕事でしょう。そういうやつらが寄り集まって政党を作って、国から助成金もらっているんですよ。本当に気骨のある人なら、徒党なんて組まずにひとりで戦うべきですよ。
私は、徒党は組まないし、政治的な人間でもないし、右も左も興味ないです。だから、ひとりで戦う。ひとりで叫ぶ。自己顕示欲が強いっていうのもあるけど、自分も人も驚かせたいというのもある。

その才能があるって若い頃は、信じていたんですが、最近になってようやく、私は馬鹿なんだなと実感しています。馬鹿が滲み出ているんですね。若い頃はわからなかった。才能あると思っていたんですよ。絵なんてなんぼでも描けるし、詩だって、曲だってかける。
ただ、これまで続けてきてヒット曲は一つもありませんからね。ただ、スランプもまったくないんですよ。
幼稚園児が、いつまでも飽きもせずに長いこと砂場で遊んでいるじゃないですか。私にとって創作っていうのは、あの感覚なんですよ。

ライブも、私にとっては、路地裏でひとり、盆踊りやっているだけの感覚。誰かに見せるとかって意識がないので、媚びだとか、予定調和とか一切ない。勝手に始めて、勝手に終わっているだけですから。

表現は、知識でも教養でもない世界だと思うんです。そこは、私みたいな馬鹿でも、立ち向かえる、やり続けられる世界なんですよ。物知り合戦ではなくて、切った張っただから。腕力もお金も学歴もいらないんです。

酒飲んで、ひとりで騒いでいるから友だちも多くない。女は、後ろ足で俺に砂かけて走っていっちゃうもん。ただ、しらふだと、10人いれば8人くらいは友だちになれる。だけど、酒飲むと、酔うにつれ、10人中8人は殴りたくなる。これは、どうしようもないの。性格だから。喧嘩は、百戦百敗ですけどね。

撮影/弦巻 勝


友川カズキ ともかわ・かずき

1950年2月16日、秋田県生まれ。詩人、歌手、画家、エッセイスト、競輪愛好家など、様々な顔を持つアーティスト。中学校時代、中原中也の詩『骨』に衝撃を受け、詩作を開始。能代工業高校ではバスケットボール部のマネージャーを務めながら太宰治や小林秀雄などを乱読。70年代初め、アコースティック・ギターを独習し、それまで書きためた詩に曲をつけて歌い始める。74年、歌手デビュー。その後、俳優として舞台に上る一方で、絵画にものめり込む。85年、東京で初の個展を開催。以後、全国各地で個展を開く。音楽活動も年に1作の割合でCDをリリース。00年以降は海外でも評価され、欧米各地で公演している。10年には友川氏に密着したドキュメンタリー映画『花々の過失』が公開された。最新アルバムは『復讐バーボン』。

ひとりで叫ぶ『人間力』友川カズキ(詩人・歌手・画家・競輪愛好家・宴会師etc.)

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