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演技一つで成り上がる『人間力』遠藤要(俳優)

[週刊大衆03月30日号]

演技一つで成り上がる『人間力』遠藤要(俳優)

「怖いものは何もなかったです。たとえ、仕事がなくても飢え死にすることはないだろうと思い、ひたすら役者としての成功を目指しました」

「役者になる!」と、全財産である8万円をポケットに忍ばせ、決死の覚悟で田舎から東京に出てきたのは19歳の時でした。
芸能事務所にかたっぱしから履歴書へ送ったもののなしのつぶて。諦めずに出し続けると、運良く採用してくれる事務所を見つけたんです。

ただ、事務所に入ったからといって仕事がすぐもらえるわけではありませんからね。所持金8万円では、東京の家賃が高過ぎて、アパートは借りられませんでした。当時の僕にとって、8万円はでかい金額。地元では、いい感じのマンションでも3万ちょいくらいも出せば借りられたので、東京でも大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが、現実は厳しかったですね。
しかたないので、渋谷の駅前を勝手に宿に。しばらくすると、ホームレスのおじさんが、ダンボールで寝床のつくり方を教えてくれて、真冬の2月だったんですが、なんとか寒さを凌げました。シャワーは公園の水道でしたね。冷たい水で、シャンプーして、なんとか清潔感は保っていたはずです。
そんな状況を知った事務所の先輩が、居候をさせてくれることになったので、そんなに長いこと家なし生活ではなかったんですがね。

役者なりたての頃は、寝る暇もありませんでしたよ。夜9時から朝5時までカラオケ店でバイト。朝6時からエキストラの現場行って、夜からバイトみたいな生活だったので。ただ、まったくヘコたれませんでしたね(笑)。ぼくには失う物は何もありませんでしたから。

実は、中学2年から母親と2人で暮らすようになって、18歳の時に、母が他界してしまったんです。母親が亡くなった時に、これから何をして生きていけばいいんだと真剣に考えましたね。ただ、有名になって、世の中に影響を及ぼせる人間になりたいという思いは強かったのですが、問題は何になるかでした。
当時、地元の仲間でロックバンドを組んでボーカルをしていましたが、身内で盛り上がっているだけだったので断念(笑)。キックボクシングはガチでやっていたんですが、プロレベルの選手とやった時、実力差を思い知らされ、これもあり得なかったですね。

そんな時、知り合いが働いている老人ホームに呼ばれて、脚本を書いてちょっとした劇をやったんです。『人間は馬鹿だから』ってタイトルで、母に何も親孝行できないまま死なせてしまった後悔をテーマに素人ながらに一生懸命作った短い芝居です。終わったら、涙目のおじいちゃんおばあちゃんから、「ありがとう」って感謝されたんですよ。もう、それにバーンと鳥肌たっちゃって、逆に思いっきり感動させられたんです。

もう役者やるしかない。そこで、当時勤めていた土建会社の社長に「仕事、辞めます」と伝えたんです。社長はぼくの家庭事情を知って、色々と世話してくれた父親代わりみたいな人だったので、「何、バカみてえなこと言ってんだ」と説教されると思ったら、「泣き言を垂れて、帰って来るんじゃねえぞ」と励ましてくれました。嬉しかったですね。

役者になってから5年ほどは、舞台やテレビドラマ、映画のエキストラで役者として下積みしました。ハリウッド映画のエキストラとして出演した時はスゲーって思いましたね。だって、2週間がっつり撮られて、映画を見たら、出演シーンは1秒くらいでしたからね(笑)。ギャラが超破格だったからまあ許しますけど(笑)。
怖いものは何もなかったです。たとえ仕事がなくても飢え死にすることはないだろうと思い、ひたすら役者としての成功を目指しました。

その後、映画『クローズZERO』のオーディションに受かり、準主役級の役どころをもらえて、ようやく名前が出る役者になりました。役者をしていて嬉しかったのは、NHKの朝ドラ『てっぱん』に出られたことですね。母親は朝ドラが大好きだったので、天国で観てくれていたんじゃないかなと思います。

役者っていう職業は、大工などの職人と同じだと思うんです。だから、地道に努力を続け、もっと、たくさんの名作に出演して、天国にまで、名を轟かせたいですね。

撮影/弦巻 勝


遠藤要 えんどう・かなめ

1983年12月25日、千葉県生まれ。中学卒業後、土木作業員、大工、塗装職人を経験し、02年に役者を目指し上京。07年公開の『クローズZERO』で800人のオーディションを勝ち抜き、一躍脚光を浴びる。以降、着実に役者としての地位を確立。NHK大河ドラマ『軍師勘兵衛』に出演するなど、数々の映画やテレビドラマに出演する期待の若手俳優。 最新出演作は『オウム真理教と闘った家族の9900日』(フジテレビ)

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