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民主党はなぜ官僚に完敗したのか!?~霞ヶ関「悪魔の支配力」の正体~ 第1回 vol.1

[週刊大衆07月23日号]

“政治主導”を掲げ政権交代を果たした同党は3年を待たずして「崩壊」した。
組織的誘導による「解体」の過程とは?

「野田さんは、いつも官僚が作ったペーパーを読んでいました。だから、野田政権がスタートする際、この内閣は官僚の言いなりになるんじゃないかと危惧していましたが、結果的に、そのとおりになった」

財務大臣当時の野田佳彦首相を知る菅内閣の閣僚の秘書経験者は、こう語る。
高く掲げたマニフェストは実現できず、米軍基地移転問題、東日本大震災、原発事故対応の混乱によって“政治主導”に対する批判が噴出。
この頃には官僚たちの目論見どおり、民主党は事実上、総選挙前の民主党ではなくなり、「崩壊」していたといえる。
自民党政権時以上の官僚依存に陥ったのだ。
そして、これも官僚の狙いどおりマニフェストはなかった消費増税に突き進み、民主党は分裂に至っている。

振り返れば、周知のように、自民党の長期政権下では、官僚は与党・自民党と一体化して政策立案を行なってきた。
そこに次第に利益誘導を求める各業界や各学会が絡むようになり、自民党・官僚・業界・学会のネットワークが強固に築かれ、既得権益が生まれた。
そして、政策立案の目的はいつしか社会の課題解決のためではなく、既得権を死守するためのものに変質した。

霞が関に巣食う官僚の行動原理は、“いかに予算をブン捕り、OBを含めた自分の省庁の利益を確保するか”に尽きるといっていい。
予算が確保できると、その事業をOBが天下った外郭団体に発注。
現役がOB を支え、OBがいずれ現役に「天下りポスト」を譲る構図が歴然と存在する。
この「霞が関の掟」を破り、省益を損ねてでも「国民のために」働けば、それは霞が関からの追放を意味する。

その、官僚による「誘導」「支配」を象徴するのが、先頃、法案が衆議院を通過し、施行されることが確実となった消費増税である。
民主党政権2代目財務相・菅直人氏が首相就任後、唐突に消費増税をブチ上げたのは、10年の参院選。
この菅内閣で野田氏は3代目財務相に昇格、財務官僚の仲介で自民党の財務相経験者と会合を重ね、政界屈指の“財務族”になっていた。
「“4年間は消費税を上げない”と大見得を切っていた野田さんが、政権の座に就いたら消費税を上げることが大義に変わっていた。野田さんは“消費税引き上げを訴えて代表に選出されたのだから問題ない”と思っているんでしょうが、それはあくまで党内の話。国民が、“民主党は変節した”と見るのも当然です」(全国紙政治部デスク)

そして野田氏は3月、党内の反発をよそに、消費増税法案提出に踏み切った。
野党時代の野田氏は無駄遣いの削減や天下り根絶を訴えており、消費増税については「その後で」という立場だった。
それが財務副大臣になると、連日の“レク”で一転、前向きになる。
野田氏をこのポストに引き上げたのは、民主党の初代財務相で、旧大蔵省OB、党税調会長の藤井裕久氏だが、その後、消費増税に「命を懸ける」野田首相の変節は、担当記者たちにも想定外だったという。
官僚を国に巣食うシロアリに例えた彼の変節の裏に、何があったのか-。

政権交代前後、官僚にとって、自民党政権下の政官業学ネットワークの枠外から、彼らの既得権を打破しようとする改革志向の民主党は、極めて危険な存在だった。
だからこそ、官僚は民主党政権を警戒し、サボタージュなどの手口で、いうことを聞かなかった。
それを知っていたのか
「実は、総選挙直前、鳩山氏は財務省の当時の事務次官だった舟呉泰健氏や、主計局長だった勝栄二郎(現事務次官)氏らと、密かに接触していた。無駄遣いをなくし、子ども手当などの看板政策の財源を確保する必要からです」(財務省所管の独立行政法人幹部)

ただ、鳩山氏はのちに財務省の最大の狙いが、権益を拡大するための消費増税にあることを痛感することになるのだが……。

ともかく当時から、民主党自身が官僚を、そう簡単に使いこなせるとは考えていなかったに違いない。
そこで大臣、副大臣、政務官の「政務三役」(つまり政治家の側)へ省庁の意思決定権を取り戻し、内閣府の「経済財政諮問会議」、各省庁の審議会停止などの試みによって「政治主導」を実現しようとしたのだ。
しかし、それは結果的に「政務三役」の過重労働を招き、内閣の総合調整機能さえも奪ってしまった。
つまり、民主党政権は官僚を使いこなせなかったばかりか、国政そのものを機能不全に陥らせたのだ。

07月20日公開のvol.2に続く・・・。

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